Tekiba.

年末退職の税金:年末調整・退職金・翌年の住民税(令和8年分)

令和8年分(2026年)の制度で解説 最終更新:2026年10月6日

結論:年末に退職する場合、12月に支給期の到来する給与等(賞与を含む)を受け取った後の退職なら退職する会社で年末調整を受けられ、退職金は「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば源泉徴収で精算が終わりますが、退職した年の所得に対する住民税は翌年6月から納めます(年収500万円・独身の計算例で年243,000円)。対象は年末に会社を退職する給与所得者で、11月以前に退職した人や、その年のうちに再就職した人の扱いも表で比べます。税金は3つに分けて考えると迷いにくくなります。①年末調整——12月に支給期の到来する給与等の支払を受けた後に退職した人は、退職する会社で年末調整の対象になります(No.2665)。中途退職でも、死亡退職・著しい心身の障害による退職・非居住者になった場合や、その年に支払を受ける給与の総額が136万円以下のパートタイマーなどは対象です。これらの例外に当たらない中途退職は年末調整の対象にならないので、その年のうちに再就職しなければ、翌年に自分で精算します。申告の義務がある人は確定申告、源泉徴収された税額が納めすぎになっているだけの人は還付申告です(No.1900・No.2030)。②退職金——「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に出していれば、退職所得控除を引いた税額が源泉徴収されて精算が終わります。出していないと支給額の20.42%が引かれ、戻すには確定申告が要ります(No.2732)。③住民税——住民税はある年の所得に対して翌年6月から翌々年5月までかけて納めるしくみなので、退職して収入がなくなった後も請求が続きます。退職した月によって、残りを一括で引かれるか納付書に切り替わるかが変わります(地方税法321条の5第2項)。

退職金から引かれる税金は退職金の手取り計算、退職した年の所得にかかる翌年度の住民税は住民税の計算で試算できます(無料・登録不要・データはブラウザ内で処理)。

年末調整される人・されない人の分かれ目

年末調整は、その年最後に給与を支払うときに、1年分の給与から源泉徴収した税額の合計と、その人が1年間に納めるべき税額との差額を精算する手続きです。対象になるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している人で、1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職して年末まで勤務している人が該当します。ただし、1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人と、災害減免法により源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人は除かれます(No.2665)。

年の中途で退職した人は、原則として年末調整の対象になりません。例外は次の5つで、これに当てはまる場合は年の中途で年末調整を行います。年末退職でいちばん問題になるのは(4)です。

年の中途で年末調整の対象になる人補足
(1)海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人非居住者になった時点で行います
(2)死亡によって退職した人死亡退職した時点で行います。死亡退職により支払われる退職手当等で相続税の課税対象になるものは所得税の課税対象にならないため、所得税等の源泉徴収は行われません(No.2732)
(3)著しい心身の障害のために退職した人退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除かれます
(4)12月に支給期の到来する給与等の支払を受けた後に退職した人「給与等」には賞与も含まれます(所基通190-1(4))
(5)いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下である人退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除かれます

出典:国税庁 No.2665「年末調整の対象となる人」(令和8年4月1日現在法令等)、所得税基本通達190-1。

(4)の判定は「退職日が12月かどうか」ではなく、「12月に支給期の到来する給与を受け取ってから辞めたかどうか」です。ここでいう「給与等」には賞与も含まれます。給与の支給日が毎月25日の会社であれば、12月25日の給与を受け取ってから12月28日に退職した人は年末調整の対象です。12月20日に退職した人は、その12月25日の給与を受け取る前に退職しているので(4)には当たりません——ただしこれは、12月に支給期の到来する賞与などほかの給与等も受け取っていない場合の話です。12月10日に支給期の到来した冬の賞与を受け取ってから12月20日に退職した人は、その賞与の支払を受けた後に退職しているので(4)に当たります。このとき年末調整の対象になるのは賞与だけではなく、その年に支払うことが確定した給与のすべて(12月25日に支払われる最後の給与を含む)です(No.2668)。いつ精算するかは勤務先の実務によるので、12月に退職する人は年末調整をしてもらえるかどうかを勤務先に確かめてください。同じ「12月退職」でも結論が変わるところです。自分がどちらになるかは、退職日と、12月に支給期の到来する給与・賞与の支給日を並べて確かめてください。ただし(4)に当たらなくても、上の表の(1)(2)(3)(5)のどれかに当たれば年の中途で年末調整を受けられます。次の表は、この点を退職の形ごとに並べ直したものです。

退職の時期と最後の給与その会社での年末調整その後にすること
12月31日まで在職(年末まで勤務)対象(12月に行う年末調整)ほかに申告する所得や控除がなければ確定申告は不要
12月に支給期の到来する給与等(賞与を含む)を受け取った後に12月中に退職対象(年の中途で行う年末調整)ほかに申告する所得や控除がなければ確定申告は不要
12月に退職したが、12月に支給期の到来する給与等(賞与を含む)をひとつも受け取らずに退職(最後の2行の例外にも当たらない)対象外翌年に精算(申告義務があれば確定申告、納めすぎだけなら還付申告)
11月以前に退職し、その年のうちに再就職した前の会社では対象外新しい勤務先が前職分を合算して年末調整(No.2674)
11月以前に退職し、その年は再就職しない(給与の総額が136万円超で、最後の行の例外にも当たらない)対象外翌年に精算(申告義務があれば確定申告、納めすぎだけなら還付申告)
パートタイマーなどで退職し、その年の給与の総額が136万円以下(退職月を問わない)対象(年の中途で行う年末調整)退職後その年に他の勤務先から給与を受ける見込みがある場合は対象外
死亡退職・著しい心身の障害による退職・非居住者となった(退職月を問わない)対象(年の中途で行う年末調整)上の一覧表の(1)〜(3)のとおり

その年のうちに再就職した場合は、新しい勤務先が前職分もまとめて年末調整します。前の会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して受けた給与がある人は、その給与を含めて年末調整を行う必要があり、新しい勤務先は前の会社の「給与所得の源泉徴収票」で金額・源泉徴収税額・社会保険料の額を確認します。この確認ができないときは年末調整を行うことができず、本人が確定申告で精算することになります(No.2674)。年末に転職する人は、前職の源泉徴収票が新しい勤務先の年末調整の締切に間に合うかを早めに確かめておくと手戻りが減ります。なお、年の途中から働き始めた人でも、基礎控除や扶養控除などの所得控除は月数であん分せず全額が認められます。

年末調整で戻る金額の見当をつけたいときは年末調整 還付金シミュレーター、年末調整では受けられない控除の一覧は年末調整でできないもの一覧と確定申告の準備で整理しています。

退職金の税金:申告書を出したかどうかで変わる

退職金は給与とは切り離して計算する退職所得で、年末調整には含まれません。退職したことに基因して支払われる給与はすべて退職手当等に含まれるので、本来の退職手当のほかに功労金などを支給された場合もここに入ります(No.2732)。社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金や、確定拠出年金法に基づいて老齢給付金として支給される一時金も退職所得とみなされます。労働基準法20条の解雇予告手当や、賃金の支払の確保等に関する法律7条により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得にあたります(No.1420)。会社都合で年末に退職するときは、解雇予告手当が給与ではなく退職所得になる点に注意してください。

計算の順序

  1. 勤続年数を出す。原則として、その支払者のもとで退職の日まで引き続き勤務した期間の年数で、1年未満の端数は1年に切り上げます(No.2732)。
  2. 退職所得控除額を計算する。勤続年数20年以下は40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年)です。障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、この額に100万円を加えます(No.1420)。
  3. 課税退職所得金額を出す。一般退職手当等は(収入金額−退職所得控除額)×1/2です。役員等勤続年数が5年以下の人が受ける特定役員退職手当等は1/2の適用がなく、勤続5年以下の短期退職手当等は控除後の金額のうち300万円を超える部分に1/2が使えません(No.1420・No.2732)。1,000円未満の端数は切り捨てます。
  4. 税額を出す。課税退職所得金額を「退職所得の源泉徴収税額の速算表」に当てはめ、所得税および復興特別所得税を計算します。住民税は退職所得の金額に市町村民税6%・道府県民税4%を掛けた額が、退職金の支払時に特別徴収されます(地方税法328条・328条の3)。これは退職手当等の支払を受けるべき日の属する年の1月1日に国内に住所がある人の扱いです。その日に国外に住んでいた場合などは分離課税の対象になりません(地方税法50条の2・328条)。その場合の扱いは後の「翌年の住民税」で説明します。

「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなるか

この申告書を勤務先に提出していれば、上の1〜4の計算で源泉徴収が行われ、原則として確定申告は不要になります。ただし、医療費控除や寄附金控除の適用を受けるなどの理由で確定申告書を提出する場合は、その確定申告書に退職所得の金額を記載する必要があります(No.1420)。源泉徴収で精算が終わっているからといって、書かずに出してよいわけではありません。提出していない場合は、退職手当等の支給額に20.42%を掛けた所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。退職所得控除も1/2も使われないので、多くの場合は納めすぎになります。この場合は、受給者本人が確定申告をして精算します(No.2732・No.1420)。

計算例:勤続15年9か月・退職金600万円(令和8年12月31日退職)

2011年4月1日に入社し、2026年12月31日に退職して退職金600万円を受け取る場合を、退職金の手取り計算に入力した画面の値で見ます。

項目申告書を提出した場合提出しなかった場合
退職金の額6,000,000円6,000,000円
勤続年数(1年未満切上げ)16年16年
退職所得控除額(40万円×16年)6,400,000円—
課税退職所得金額0円—
所得税および復興特別所得税0円1,225,200円
住民税(市町村民税6%+道府県民税4%)0円0円
手取り額6,000,000円4,774,800円

勤続16年の退職所得控除額640万円が退職金600万円を上回るので、申告書を出していれば所得税も住民税もかかりません。同じ退職金でも、申告書を出していないと1,225,200円(600万円×20.42%)が源泉徴収されます。出し忘れた場合でも、確定申告をすれば同額が戻ります。住民税は申告書の有無にかかわらず、退職所得の金額に対して計算した額が特別徴収されますので、この例ではどちらも0円です。

前年以前に別の退職金やiDeCo・企業型DCの老齢一時金を受け取っている場合は、勤続期間の重複部分について退職所得控除額が調整されます(No.2732)。受取の順序と間隔で結果が変わるところなので、退職金の税金の計算方法と、申告書を出さないと損をする理由で別に説明しています。

翌年の住民税:退職しても請求は続く

住民税は前年1月1日から12月31日までの所得を基に税額が決まり、その年の6月から翌年5月までの12回に分けて納めます。給与から天引きされている場合(特別徴収)も、納付書で納める場合(普通徴収、6月・8月・10月・翌年1月の4期)も、納めているのは前年分の所得に対する税金です。退職して収入がなくなっても、前年に所得があれば請求は来ます。この時間差が「退職したのに住民税が来た」と感じる理由です。

退職した月で、残りの徴収方法が変わる

給与から天引きされていた人が退職すると、退職した月の翌月以降の月割額をどうするかが問題になります。地方税法321条の5第2項は次のように定めています。

退職した日残りの住民税の扱い本人の申出
その年度の6月1日〜12月31日原則は普通徴収(納付書で自分で納める)。申出があれば最後の給与や退職金からまとめて一括徴収必要
翌年1月1日〜4月30日一括徴収(最後の給与や退職金から残額をまとめて徴収)不要
5月中その年度の月割額は5月で終わるので、翌月以降に残る月割額はない—

一括徴収ができるのは、5月31日までに支払われるべき給与または退職手当等で、残りの月割額の全額に相当する金額を超えるものがあるときに限られます(地方税法321条の5第2項ただし書)。手続きの名称や申出の方法は市区町村ごとに案内が出ています(例:横浜市「個人住民税の特別徴収に関するよくあるご質問」)。

12月末の退職は、上の表の1行目にあたります。何も申し出なければ令和8年度分(令和7年の所得に対する住民税)の1月分から5月分が普通徴収に切り替わり、市区町村から納付書が届きます。最後の給与や退職金から引いてしまいたい場合は、退職前に勤務先へ申し出る必要があります。どちらが有利ということはなく、手元の資金をどう置くかの選択です。

退職した年の所得に対する住民税は、翌年6月から

退職した年(令和8年)の給与に対する住民税は、令和9年度分として令和9年6月から課税されます。退職後に再就職していなければ天引きの相手がいないので、原則として普通徴収になります。住民税の計算に年収500万円・独身(東京都・40歳未満・社会保険料は概算)を入力すると、画面は次の値を表示します。

項目金額
給与所得(給与収入 5,000,000円)3,560,000円
所得控除の合計(社会保険料控除 723,144円+基礎控除 430,000円)1,153,144円
課税総所得金額(1,000円未満切捨て)2,406,000円
所得割(調整控除前)240,600円
調整控除(人的控除の差 50,000円)− 2,500円
所得割額(市区町村民税142,800円+都道府県民税95,200円。それぞれ100円未満切捨て)238,000円
均等割 4,000円+森林環境税 1,000円5,000円
住民税 年額(令和9年度分)243,000円
納付書での目安(普通徴収)63,000円(6月)+60,000円×3期
給与天引きの目安(特別徴収)20,800円(6月)+20,200円×11か月

退職して収入がなくなった翌年に、4回の納付書で243,000円を納めることになります。年末退職を考えているなら、この金額を別に取り分けておくと後で困りません。実際の税額は市区町村の決定通知書で確定します。住民税の計算の順序そのものは住民税の計算方法と、所得割・均等割の仕組みで解説しています。

その年に分離して課税される退職金の住民税は、この「翌年6月から」の税額には含まれません。退職手当等に対する住民税は、支払を受けるべき日の属する年の1月1日現在に住所がある市町村が、他の所得と区分して課税し、支払時の特別徴収で完結します(地方税法328条)。国内に住所があるふつうの場合は、同じ年に退職金を受け取っても翌年度の住民税が膨らむことはありません。ただし退職手当等の支払を受けるべき日の属する年の1月1日に国外に住んでいた場合など、この分離課税の対象にならないときは、1月1日の住所で2段階に見ます。翌年1月1日に国内に住所があれば、その退職所得は翌年度の住民税で他の所得と合わせて課税され、本人の申告が必要です。翌年1月1日にも国内に住所がなければ、その退職所得に翌年度の住民税は課されません(住民税は1月1日に住所のある市町村が課すためです)。所得税の申告が必要かどうかは、これとは別に判断してください(地方税法50条の2・328条。新座市「退職所得に対する住民税」の説明)。

翌年に確定申告が必要な場合・した方がよい場合

しなければならない場合

給与所得者でも、次のような場合は確定申告が必要です(No.1900)。年末退職に関係が深いものを挙げます。

年末調整を受けていないというだけで、確定申告の義務が生じるわけではありません。所得税法121条には申告を要しない場合の定めがあり、給与の年間収入金額が2,000万円以下で、給与を1か所から受けていてその全部が源泉徴収の対象になっており、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば、年末調整を受けていなくても所得税の確定申告は要りません(所得税法121条1項1号、No.1900)。ただしこれは課税総所得金額・課税山林所得金額に係る所得税についての定めなので、上の4つ目(退職所得の税額が源泉徴収された額より多くなる場合)は別に精算が要ります。給与の支払者の事業に不動産を貸して対価を受けている場合など、この定めから外れる場合もあります。申告の義務がないときでも、納めすぎになっているなら還付申告はできます。なお、所得税の確定申告をしない場合は、市区町村への住民税の申告が必要になることがあります。「20万円以下は申告不要」は所得税の話で、住民税には同じ定めがありません。お住まいの市区町村の案内をご確認ください。

した方がよい場合(還付申告)

確定申告の義務がなくても、源泉徴収された税額が納めすぎになっているときは、確定申告をすれば返してもらえます。国税庁は還付申告の例のひとつとして「年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき」を挙げています(No.2030)。年末退職で当てはまりやすいのは次のような場合です。

このとき必要になるのは、前の勤務先から交付される給与所得の源泉徴収票と、退職金を受け取った場合の退職所得の源泉徴収票です。退職金の源泉徴収がすでに終わっていても、確定申告書を出すなら退職所得の金額を書きます(No.1420)。国民年金・国民健康保険の保険料は、支払った額が分かる書類を用意してください。

還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間できます(No.2030)。確定申告期間(令和8年分は令和9年2月16日から3月15日まで)を待つ必要はありません。1月に入ったら、前の勤務先から届いた源泉徴収票をそろえて手続きできます。

退職金の額と勤続年数を入れて税額と手取りを確かめる:退職金の手取り計算/退職した年の所得に対する翌年度の住民税を試算する:住民税の計算/退職した年のふるさと納税の上限を見る:ふるさと納税の上限額

よくある質問

源泉徴収票はいつもらえますか?

年の中途で退職した人の給与の源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付されます。所得税法226条1項は、給与等の支払者は源泉徴収票を2通作成し、その年の翌年1月31日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後1月以内)に、1通を税務署長に提出し、もう1通を本人に交付しなければならないと定めています。退職金を受け取った場合の退職所得の源泉徴収票も、その退職の日以後1か月以内です(同条2項)。12月31日に退職したなら、翌年1月31日ごろまでが目安になります。年末調整の対象になった人は、精算後の税額が記載された源泉徴収票が交付されます。期限を過ぎても届かないときは、まず前の勤務先に問い合わせてください。転職先で前職分を含めた年末調整を受けるには、この源泉徴収票を新しい勤務先に提出する必要があります(No.2674)。

失業給付には税金がかかりますか?

かかりません。雇用保険法第12条(公課の禁止)は「租税その他の公課は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない」と定めています。基本手当などの失業等給付は所得税も住民税もかからず、確定申告に書く必要もありません。翌年の住民税の計算にも入りません。いっぽう、健康保険の被扶養者になれるかどうかの判定では、失業等給付は収入に含めて見ます。日本年金機構は被扶養者の年間収入に失業等給付・公的年金・傷病手当金・出産手当金を含めるとしています。年間収入130万円未満の基準が適用される人については、雇用保険等の受給者なら日額3,611円以下であれば要件を満たすとされ、基本手当が3,612円以上支給され始めた場合は扶養削除の届出が必要です。この日額は、130万円未満の基準が当てはまる場合の目安です。60歳以上または障害者の方は年間収入180万円未満、扶養認定日が令和7年10月1日以降で19歳以上23歳未満の方(被保険者の配偶者を除く)は150万円未満と基準が異なり、判定には失業等給付以外の収入も合わせて見ます。税では収入に入らないが社会保険では収入に入る、という食い違いがあるところです。なお、退職金は失業等給付ではないので、この非課税の扱いとは関係がありません。

退職した年のふるさと納税の上限はどうなりますか?

その年に分離して課税される退職金は、上限を増やしません。ふるさと納税の自己負担2,000円で済む上限は、住民税の所得割額のおよそ2割にあたる「特例控除額」で決まります。地方税法314条の7第2項は、この特例控除額の限度を「第314条の3及び前条の規定を適用した場合の所得割の額の100分の20に相当する金額」としています。退職手当等に対する所得割は、地方税法328条により第314条の3の規定にかかわらず他の所得と区分して課税される分離課税なので、ここには入りません。なお、寄附金税額控除の対象になる寄附金の額そのものにも「総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の100分の30」という上限がありますが(地方税法314条の7第1項)、ここでいう退職所得金額からも、勤務先が支払う退職手当等のようにその年に分離して課税が完結するものは除かれます。つまり現年分離課税になる勤務先からの退職金は、2割の枠も3割の枠も増やしません。逆に、分離課税の対象にならず翌年度の住民税で他の所得と合わせて課税される退職所得(上の「翌年の住民税」を参照)は、上限に影響することがあります。つまり退職金をいくら受け取っても、ふるさと納税の上限はその分は増えないと考えてください。むしろ年末に退職すると、その年の給与が例年より少なくなる分だけ上限が下がることがあります。1月から11月までの給与と12月の見込み、退職後の所得を合わせてふるさと納税の上限額で計算し直してから寄附する額を決めてください。すでに寄附した後で上限を下回ったことが分かった場合は、超えた部分が自己負担になります。ワンストップ特例を使っていた人が確定申告をすると、ワンストップ特例の申請はなかったことになるので、確定申告書に寄附金控除を書き忘れないようにしてください。

根拠資料

年の途中で転職した人が前職の源泉徴収票を今の会社に出す理由と、出さなかったときの確定申告は転職した年の年末調整:前職の源泉徴収票がいるとき・ないときで説明しています。

退職後の失業給付(基本手当)がいつ・いくら振り込まれるかと、国民健康保険・任意継続・国民年金の目安は失業給付はいつから・いくら?と退職後カレンダーで確かめられます。

退職後の健康保険・年金・雇用保険・住民税・確定申告の手続きの期限日(任意継続20日・国保と国民年金14日など)は退職後の手続き期限ナビで日付順に確認できます。

この記事は一般的な説明で、個別の判断は税理士または所轄の税務署・市区町村へご相談ください。住民税の徴収方法の切替の手続きはお住まいの市区町村の案内をご確認ください。関連ツール:退職金の手取り計算/住民税の計算/ふるさと納税の上限額/年末調整 還付金シミュレーター。関連記事:退職金の確定申告は必要?/退職金の税金の計算方法と、申告書を出さないと損をする理由/住民税の計算方法と、所得割・均等割の仕組み/年末調整でできないもの一覧と確定申告の準備(令和8年分)。

関連する記事

この計算ができるツール