ボーナスの手取りはいくら?引かれるものと計算(令和8年分)
結論:ボーナス(賞与)の手取りは目安として額面の7〜8割前後で、東京都・40歳未満・扶養親族なしの方が前月の給与40万円のあとに50万円の賞与を受け取ると、手取りは391,710円(額面の78.3%)です。この記事は、勤務先で健康保険(協会けんぽ)・厚生年金・雇用保険に加入し、その勤務先に扶養控除等申告書を出している(甲欄の)会社員を前提にしています。賞与からは健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税の4つが引かれ、賞与の額に応じた住民税は引かれません。所得税は毎月の給与と決め方が違い、前月の社会保険料控除後の給与と扶養親族等の数で決まった率を、社会保険料を引いたあとの賞与に掛けます(国税庁 タックスアンサー No.2523)。手取りの割合は、前月の給与・扶養親族の数・都道府県・年齢で変わります。
賞与から引かれる4つと、引かれないもの
健康保険料。賞与の社会保険料は、支給額の1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に料率を掛け、その半分を本人が負担します(健康保険法45条)。協会けんぽ東京支部の令和8年度の料率は9.85%で、これに子ども・子育て支援金率0.23%が上乗せされて10.08%です。標準賞与額には年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計573万円という上限があり、超えた分には健康保険料がかかりません。40歳から64歳の方は、これに介護保険料率1.62%(本人負担は半分)が加わります。
厚生年金保険料。標準賞与額に18.3%を掛けた額の半分です。こちらの上限は1か月あたり150万円で、同じ月に2回以上支給されたときは合算して判定します(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)。下のツールはこの合算に対応していませんので、同じ月に2回以上受け取った方は、1回ずつ計算した結果を足しても明細と合わないことがあります(勤務先にご確認ください)。70歳以上の方は厚生年金の対象外です。
保険料がかからない場合もあります。75歳以上の方は健康保険の被保険者ではなくなり(後期高齢者医療制度に移ります)、70歳以上の方は厚生年金の対象外です。また、産前産後休業・育児休業等の期間については、要件を満たすと健康保険・厚生年金の保険料が免除される制度があり、賞与の保険料も対象になることがあります(日本年金機構「厚生年金保険料等の免除」)。下のツールはこの免除には対応していません。
雇用保険料。標準賞与額ではなく賞与の支給額そのものに料率を掛けます。令和8年度の労働者負担は一般の事業で0.5%、農林水産・清酒製造の事業と建設の事業は0.6%です。上限はありません。
所得税(復興特別所得税を含む)。上の社会保険料を引いたあとの賞与に、算出率の表で求めた率を掛けます(1円未満切り捨て)。率を決めるのは賞与の額ではなく前月の給与です。表には甲欄(その勤務先に扶養控除等申告書を出している場合)と乙欄(出していない場合。副業先など)があり、この記事の説明と計算例はすべて甲欄です。詳しくは次の節と「なぜ月給より税率が高く見えるのか」で説明します。
賞与の額に応じた住民税は引かれません。住民税は前年1年分の所得から税額を決めて、6月から翌年5月までの12回に分けて毎月の給与から引く仕組み(特別徴収)だからです。ただし賞与も前年の所得に含まれるので、翌年度の住民税の額には反映されます。退職するときなどの例外は下のよくある質問で説明します。
計算例:賞与30万・50万・100万円の手取り
条件は東京都・40歳未満(介護保険なし)・扶養親族等0人・甲欄・一般の事業(雇用保険0.5%)・今年度の賞与累計なし・通勤手当なしで、令和8年4月以降に支払われる賞与を前提にしています(協会けんぽの料率は令和8年3月分から、子ども・子育て支援金率と雇用保険料率は令和8年4月からの値です。令和8年1〜3月に支払われた賞与は料率が違うので、この表とは一致しません)。前月の給与の社会保険料も同じ料率で計算しています。まず社会保険料は、前月の給与に関係なく賞与の額だけで決まります。
| 賞与 | 健康保険 | 厚生年金 | 雇用保険 | 合計 | 社保控除後 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300,000円 | 15,120円 | 27,450円 | 1,500円 | 44,070円 | 255,930円 |
| 500,000円 | 25,200円 | 45,750円 | 2,500円 | 73,450円 | 426,550円 |
| 1,000,000円 | 50,400円 | 91,500円 | 5,000円 | 146,900円 | 853,100円 |
次に所得税です。前月の給与が30万円の方は社会保険料を引くと255,930円、40万円の方は339,821円になります(同じ条件で同ツールの「月給の手取り」から)。ご自分の条件で確かめるときは、総支給額から社会保険料を引いて計算し直すのではなく、前月の給与明細の「社会保険料等控除後の金額」をそのまま使ってください。非課税の通勤手当は所得税の対象に入らない一方で社会保険料の計算には入るため、通勤手当が出ている方はこの2つが一致しません。社会保険料そのものも総支給額ではなく標準報酬月額で決まります。扶養親族等0人の算出率の表では、255,930円は「94千円以上260千円未満」の行で4.084%、339,821円は2つ下の「309千円以上342千円未満」の行で8.168%です。同じ賞与でも税額が2倍になります。
| 賞与 | 前月の給与 | 率 | 所得税 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300,000円 | 300,000円 | 4.084% | 10,452円 | 245,478円 | 81.8% |
| 300,000円 | 400,000円 | 8.168% | 20,904円 | 235,026円 | 78.3% |
| 500,000円 | 300,000円 | 4.084% | 17,420円 | 409,130円 | 81.8% |
| 500,000円 | 400,000円 | 8.168% | 34,840円 | 391,710円 | 78.3% |
| 1,000,000円 | 300,000円 | 4.084% | 34,840円 | 818,260円 | 81.8% |
| 1,000,000円 | 400,000円 | 8.168% | 69,681円 | 783,419円 | 78.3% |
扶養親族等が1人いると、同じ前月の給与でも率の行が変わります。前月の給与が40万円(社会保険料控除後339,821円)でも、扶養親族等1人なら「289千円以上346千円未満」の行で6.126%になり、賞与50万円の所得税は26,130円、手取りは400,420円です。40歳から64歳の方は介護保険料が加わるので、同じ賞与50万円・前月給与40万円で社会保険料が77,500円、手取りは387,991円になります。
なぜ月給より税率が高く見えるのか
社会保険料の割合はほとんど変わりません。上の条件で月給40万円の社会保険料は60,179円で額面の15.0%、賞与50万円の社会保険料は73,450円で14.7%です。差が出るのは所得税のほうで、月給40万円の源泉所得税は10,750円(2.7%)、賞与50万円は34,840円(7.0%)になります。
理由は使う表の作りが違うことです。毎月の給与に使う月額表は、その月の社会保険料控除後の給与から給与所得控除と基礎控除の1か月分を差し引いた残りに税率を掛けた額を、金額の階級ごとに定めたものです。一方、賞与に使う算出率の表は前月の給与で率だけを決め、控除を引かずに社会保険料控除後の賞与の全額に掛けます。控除の枠は毎月の給与のほうで使い切っている、という組み立てになっているためです。社会保険料はどちらも表を引く前に実額で差し引かれるので、ここは差の理由ではありません。
もうひとつ、率の帯の境目が急です。扶養親族等0人なら、前月の社会保険料控除後の給与が94,000円以上260,000円未満で4.084%、260,000円以上309,000円未満で6.126%、309,000円以上342,000円未満で8.168%です(94,000円未満はさらに下の帯で、82,000円未満が0%、82,000円以上94,000円未満が2.042%)。前月の給与がわずかに違う同僚と、同じ賞与でも税額が変わります。この率は1年の正しい税額そのものではなく、年末調整で精算される前の概算です。
年末調整で精算される。戻ることも、足りないこともある
賞与の源泉徴収は前月の給与から決めた率を掛けるだけの概算なので、1年分の正しい税額とはずれます。そのずれは12月の年末調整で、1年間の給与と賞与の合計から年税額を計算し直し、源泉徴収した合計との差として精算されます。生命保険料控除・扶養控除など、毎月の源泉徴収に反映されていない控除もここで反映されます。精算されるのは扶養控除等申告書を出している勤務先(甲欄)の給与・賞与です。副業先など乙欄で源泉徴収された賞与はその勤務先の年末調整の対象にならず、確定申告で精算します。年の途中で退職して年末調整を受けていない場合も同じです(国税庁 タックスアンサー No.2665)。
戻るか足りないかは、収入・控除・源泉徴収の状況で変わります。賞与が大きく前月の給与が小さい方は、率が実際の負担より低めに出て不足になることもあります。反対に、年の途中で扶養親族が増えた方や、控除の申告をこれから出す方は還付になりやすくなります。金額はご自分の条件で確かめてください。
令和8年12月に支払われる給与・賞与も、これまでと同じ令和8年分の税額表・算出率の表で源泉徴収されます。令和8年度の改正で引き上げられた基礎控除・給与所得控除の最低保障額は、12月の年末調整でまとめて精算する扱いです(国税庁「令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q1−1)。改正後の源泉徴収税額表が使われるのは令和9年1月1日以後に支払うべき給与からなので(同 Q4−1)、「12月の賞与から引かれ方が変わる」わけではありません。
よくある質問
賞与に住民税はかかりますか?
賞与の額に応じて住民税が引かれることはありません。住民税は前年1年分の所得をもとに税額を計算し、6月から翌年5月までの12回に分けて毎月の給与から引く仕組み(特別徴収)だからです。ただし賞与が住民税と無関係というわけではありません。賞与も前年の所得に含まれるので、翌年度の住民税の額には反映されます。賞与の多い年の翌年6月から住民税が上がるのはこのためです。また、退職などで給与の支払を受けなくなるときは、残っている住民税をその後に支払われる給与等からまとめて引く一括徴収が行われることがあり(地方税法321条の5第2項)、その給与等が賞与であれば賞与から引かれます。
前月に給与がない場合、賞与の所得税はどう計算しますか?
算出率の表は前月の給与から率を決める仕組みなので、前月に給与の支払がない場合は使えません。この場合は、社会保険料等を差し引いた賞与を6で割り、その額を月額表に当てはめて出た税額を6倍します(賞与の計算期間が6か月を超えるときは12で割って12倍)。また、社会保険料等控除後の賞与が前月の社会保険料等控除後の給与の10倍を超える場合も算出率の表を使わず、6で割った額を前月の給与に足して月額表に当てはめ、前月の給与だけの税額との差を6倍します(こちらも賞与の計算期間が6か月を超えるときは12で割って12倍)。いずれも国税庁 タックスアンサー No.2523によります(前月に給与がない場合は所得税法186条1項1号ロ、前月の給与の10倍を超える場合は同条2項1号)。上と同じ条件で前月の給与がない方が賞与50万円を受け取ると、社会保険料73,450円を引いた426,550円を6で割った71,091円が月額表で税額0円になるため、所得税は0円、手取りは426,550円です。
賞与が年4回以上ある場合はどうなりますか?
社会保険と所得税で扱いが分かれます。社会保険では、年4回以上支給される賞与は標準賞与額の対象となる賞与ではなく、標準報酬月額の対象となる報酬として扱われます(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)。つまり賞与としての保険料はかからず、代わりに毎月の標準報酬月額に算入されて月々の保険料が上がります。所得税のほうは回数による切り替えがなく、定期の給与とは別に支払われるものであれば賞与として算出率の表で源泉徴収されます。上のツールは年4回以上の賞与には対応していませんので、その場合は勤務先の給与明細でご確認ください。
根拠資料
- 国税庁 タックスアンサー No.2523 賞与に対する源泉徴収(令和8年4月1日現在法令等。率の求め方、前月の給与の10倍を超える場合、前月に給与の支払がない場合)
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(扶養親族等0人:82千円未満0%、82〜94千円2.042%、94〜260千円4.084%、260〜309千円6.126%、309〜342千円8.168%。備考4に月額表で計算する場合)、および月額表(電子計算機等による計算の特例)
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q1−1(令和8年11月までの源泉徴収事務に変更はなく、改正は年末調整で精算)、Q4−1(改正後の税額表は令和9年1月1日以後に支払うべき給与から)
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」(標準賞与額は1,000円未満切り捨て、1か月につき150万円が上限、同じ月に2回以上は合算、年4回以上支給される賞与は標準報酬月額の対象)
- 健康保険法 第45条(標準賞与額の決定、年度累計573万円の上限)、所得税法 第186条第2項(賞与の源泉徴収税額)、第190条(年末調整)、地方税法 第321条の5(住民税の特別徴収。第2項が退職時などの一括徴収)、国税庁 タックスアンサー No.2665(年末調整の対象となる人)、日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」
- 全国健康保険協会「令和8年度 都道府県単位保険料率」(東京都9.85%)、子ども・子育て支援金率0.23%、介護保険料率1.62%、日本年金機構「令和8年度 保険料額表」(厚生年金18.3%)、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率」(一般の事業の労働者負担0.5%)
この記事は一般的な説明で、個別の判断は税理士または所轄の税務署へご相談ください。記事中の金額は給与の手取り・源泉所得税・年末調整 計算で算出した目安で、健康保険組合の料率や会社独自の手当には対応していません。関連ツール:給与の手取り・源泉所得税・年末調整 計算/年末調整 還付金シミュレーター/住民税 計算ツール。関連記事:年末調整の還付金はいくら戻る?年収別の早見表と仕組み/給与の手取りの計算方法と、引かれるものの内訳/住民税の計算方法と、所得割・均等割の仕組み。