年末調整の還付金はいくら戻る?年収別の早見表と仕組み
結論:令和8年分の年末調整では、扶養親族も生命保険料もない会社員でも、年収300万〜800万円で約3万〜6万7千円が戻る目安です(給与だけ・賞与なしの場合)。年収・扶養親族の数・生命保険料の有無ごとの金額は早見表にまとめ、戻る仕組みと追加で引かれる人の違いはその後で説明します。
12月の給与明細を見ると、所得税がマイナスになっていたり、いつもより手取りが多かったりすることがあります。これが年末調整の還付です。この記事では、なぜお金が戻るのか、いくら戻るのかをどう見積もるのかを、令和8年分のルールで説明します。
還付が起きる理由
会社は毎月の給与から所得税を「仮の額」で天引きしています。これが源泉徴収です。毎月の税額は、その月の社会保険料控除後の給与と扶養親族等の数だけで機械的に決まり、生命保険料控除や地震保険料控除、自分で払うiDeCoの掛金、配偶者特別控除などは反映されていません(給与から天引きされている掛金は毎月の源泉徴収でも控除されています)。年末になって1年分の給与が確定したところで、これらの控除をすべて入れて正しい年税額(年調年税額)を計算し、天引き済みの合計と比べます。天引きが多ければ差額が戻り(還付)、少なければ追加で引かれます(追徴)。
毎月の税額表は「その月の給与が12か月続く」前提で作られており、控除が最小限しか入っていないため、たいていの人は天引きのほうが多くなります。だから年末調整では還付になる人が多数派です。
年末調整の還付金 早見表(令和8年分)
令和8年分は、扶養親族も生命保険料もない人でも、年収300万〜800万円で約3万〜6万7千円戻る計算になります。下の早見表は、年収・扶養親族の数・生命保険料の有無ごとに、年末調整で戻る所得税(復興特別所得税を含む)の目安を年末調整 還付金シミュレーターと同じ計算で出したものです。
前提は給与だけ・賞与なし・社会保険料は年収の15%、源泉徴収税額は令和8年分の月額表(甲欄)からの推定です。扶養親族は16歳以上の一般の扶養親族(扶養控除38万円)で、毎月の源泉徴収もその人数で計算しています。生命保険料は一般の生命保険料(新制度)を年8万円払って申告した場合(控除4万円)です。100円未満は切り捨てています。
扶養親族なし
| 年収 | 生命保険料 なし | 生命保険料 年8万円 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約30,200円 | 約32,200円 |
| 400万円 | 約30,300円 | 約32,300円 |
| 500万円 | 約53,400円 | 約55,400円 |
| 600万円 | 約66,800円 | 約70,900円 |
| 700万円 | 約52,400円 | 約60,600円 |
| 800万円 | 約44,700円 | 約52,800円 |
扶養親族1人
| 年収 | 生命保険料 なし | 生命保険料 年8万円 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約30,200円 | 約32,200円 |
| 400万円 | 約30,300円 | 約32,300円 |
| 500万円 | 約34,100円 | 約36,100円 |
| 600万円 | 約66,800円 | 約70,900円 |
| 700万円 | 約32,100円 | 約36,200円 |
| 800万円 | 約44,800円 | 約52,900円 |
扶養親族2人
| 年収 | 生命保険料 なし | 生命保険料 年8万円 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約18,300円 | 約18,300円 |
| 400万円 | 約30,300円 | 約32,300円 |
| 500万円 | 約31,300円 | 約33,300円 |
| 600万円 | 約51,900円 | 約53,900円 |
| 700万円 | 約26,200円 | 約30,300円 |
| 800万円 | 約44,800円 | 約52,900円 |
扶養親族が多いほど多く戻るとは限りません。扶養親族がいると毎月の源泉徴収税額も少なくなっているため、年末調整で差し引きした結果は年収と人数の組み合わせで上下します。生命保険料控除4万円の効果は、税率5%の人で約2,000円、10%で約4,100円、20%で約8,200円です(4万円×税率×102.1%)。同じ人が一般の生命保険料年8万円に加えてiDeCoを年24万円自分で払って申告した場合(扶養親族なし)は、年収300万円で約44,500円、500万円で約67,700円、700万円で約99,400円になります。
控除が何もなくても戻るのは、11月までの源泉徴収が令和8年度改正前の税額表——基礎控除58万円・給与所得控除の最低保障65万円で作られた表(令和7年度改正までは反映済み)——で行われているからです。令和8年度改正で引き上げられた控除の効果は、12月の年末調整で初めて反映されます。これは目安で、実際の額は賞与の割合、年の途中の入退社、配偶者や16歳未満の子の有無、社会保険料の実額で変わります。また毎月の給与から所得税が引かれていない人は、戻る税金そのものがありません(月額表の甲欄は社会保険料等控除後の月額105,000円未満が0円なので、この前提ではおおむね年収149万円未満が該当します)。ご自分の条件での金額は年末調整 還付金シミュレーターで計算できます。
年末調整で戻る人と、追加で引かれる人の違い
還付が大きくなりやすいのは、次のような人です。生命保険・介護医療保険・個人年金保険に加入している。地震保険に入っている。iDeCoや小規模企業共済に掛金を払っている。配偶者の収入が少なく配偶者控除・配偶者特別控除の対象になる。年の途中で扶養親族が増えた。住宅ローン控除の2年目以降(初年度は確定申告)。年の途中で入社し、それ以前は収入がなかった。月によって残業代の変動が大きく、多い月に高い税額を引かれていた。
逆に追徴になりやすいのは、年の途中で扶養親族が減った(子どもの就職、配偶者の収入増)、賞与が前月給与に比べて極端に大きく賞与の税率が低めに判定されていた(賞与の源泉徴収の仕組み)、扶養控除等申告書に書いた人数が実際より多かった、といったケースです。
同じ論点を note の無料記事「年末調整で「戻る人」と「追加で引かれる人」の違い——今年(令和8年分)は例年より戻る人が多い理由」でも書いています。毎月の手取りの内訳から確かめたい方は給与の手取り・源泉所得税・年末調整 計算もどうぞ。
令和8年分で変わったこと
令和7年度・令和8年度と2年続けて改正があり、年末調整の計算に使う控除額が大きく変わりました。令和8年分に適用されるのは次の金額です。
| 項目 | 令和7年分(2025年) | 令和8年分(2026年) |
|---|---|---|
| 給与所得控除の最低保障額 | 65万円 | 74万円 |
| 基礎控除 | 95/88/68/63/58万円 | 104/67/62万円 |
| 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 | 58万円以下 (給与収入123万円以下) | 62万円以下 (給与収入136万円以下) |
| 特定親族特別控除の対象 | 所得58万円超123万円以下 | 所得62万円超123万円以下 (給与収入136万円超197万円以下) |
| 生命保険料控除(一般・新制度) | 最高4万円 | 23歳未満の扶養親族がいれば最高6万円 |
基礎控除は所得税法上の本則が62万円になり、これに租税特別措置法の加算額が乗ります。令和8年分・令和9年分は合計所得金額489万円以下なら42万円が加算されて104万円、489万円超655万円以下なら5万円が加算されて67万円、それ以外(2,350万円以下)は62万円です。合計所得金額が2,350万円を超えると48万円・32万円・16万円と段階的に減り、2,500万円を超えると適用されません。
ここが令和8年分の年末調整で重要な点です。令和8年度税制改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。令和8年11月までの毎月の源泉徴収は改正前の税額表で行われているため、引き上げられた控除の効果は12月の年末調整でまとめて精算されます。つまり令和8年分の年末調整は、例年より還付が大きくなる人が多くなります。
計算の手順
- 給与所得控除後の金額を出す。年間の給与総額(賞与を含み、非課税の通勤手当は除く)から給与所得控除を引きます。年収450万円なら給与所得控除は134万円で、給与所得は316万円です。
- 所得控除を合計する。社会保険料控除(給与から引かれた健康保険・厚生年金・雇用保険の全額)、小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)、生命保険料控除(最高12万円)、地震保険料控除(最高5万円)、配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除、障害者控除、寡婦・ひとり親控除、勤労学生控除、基礎控除。
- 課税給与所得金額を出す。給与所得から所得控除の合計を引き、1,000円未満を切り捨てます。
- 算出所得税額を出す。課税所得195万円以下は5%、330万円以下は10%−97,500円、695万円以下は20%−427,500円、900万円以下は23%−636,000円、1,800万円以下は33%−1,536,000円。
- 年調年税額を出す。住宅借入金等特別控除があれば税額から引き、残りに102.1%(復興特別所得税)を掛けて100円未満を切り捨てます。
- 過不足を出す。年調年税額と1年間の天引き合計を比べ、天引きが多ければその差が還付されます。
計算例(令和8年分)
年収450万円(うち賞与90万円)、社会保険料67万円、配偶者の所得40万円(パート年収114万円)、大学生の子ども1人(アルバイト所得70万円)、一般の生命保険料(新制度)年8万円、天引き済みの所得税12万円の場合。
- 給与所得=450万円−給与所得控除134万円=316万円
- 所得控除=社会保険料67万円+生命保険料控除4万円+配偶者控除38万円+特定親族特別控除63万円+基礎控除104万円=276万円
- 課税給与所得金額=316万円−276万円=40万円
- 算出所得税額=40万円×5%=20,000円 → 年調年税額=20,000円×102.1%=20,400円(100円未満切捨て)
- 還付額=120,000円−20,400円=99,600円
生命保険料控除が4万円なのは、この家庭に23歳未満の「扶養親族」がいないためです。大学生の子は所得70万円で扶養親族の所得要件(62万円以下)を超えており、特定親族特別控除の対象にはなりますが扶養親族ではありません。16歳未満の子など23歳未満の扶養親族がもう1人いれば、一般の新制度の上限が6万円に上がり、控除は5万円、還付は100,100円になります。
同じ条件を令和7年分のルールで計算すると、基礎控除が88万円になるので所得控除は260万円、課税所得は56万円、年調年税額は28,500円で、還付は91,500円です。改正だけで戻る額が約8,000円増えている計算になります。
源泉徴収税額はどう決まっているか
毎月の給与から引かれる所得税は、国税庁の「源泉徴収税額表」の月額表(甲欄)で決まります。社会保険料を引いたあとの月給と、扶養控除等申告書に書いた「扶養親族等の数」の交差する欄を読むだけです。賞与は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で、前月の社会保険料控除後の給与から率を求め、その率を賞与から社会保険料等を引いた金額に掛けます(No.2523)。
この表には生命保険料控除も地震保険料控除も、自分で払うiDeCoの掛金も入っていません(給与天引きの掛金は社会保険料等として毎月引かれています)。だから、これらの控除がある人ほど年末調整で戻る額が大きくなります。ざっくり見積もるなら「控除額の合計 × 自分の所得税率 × 102.1%」が還付の目安です。所得税の税率は課税所得195万円以下が5%、195万円超330万円以下が10%、330万円超695万円以下が20%なので、控除が10万円増えたときに戻る額は、5%の人で約5,100円、10%の人で約1万円、20%の人で約2万円という感覚です。
iDeCo・生命保険料・住宅ローン控除は、年末調整でいくら効く?
戻る額は「その控除がなかった場合の年調年税額との差」です。上の「控除額×税率×102.1%」はその近似で、控除によって税率の区分をまたぐ人や、税額が0になる人はこの式どおりになりません。なお、このうち生命保険料控除・地震保険料控除と、自分で払ったiDeCoの掛金は保険料控除申告書に金額を書いて証明書を添えます(書き方は保険料控除申告書の書き方(令和8年分))。住宅ローン控除は別の「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を使います。年収500万円(社会保険料は年収の15%・扶養親族なし・令和8年分)で実際に計算すると次のようになります。
- 生命保険料控除:新制度の一般の保険料を年8万円払うと控除は4万円で、戻る額は約2,000円。一般・介護医療・個人年金の3区分とも上限まで使って控除12万円なら約6,100円。
- iDeCo・小規模企業共済:月2万円=年24万円を社会保険料とは別に自分で払って申告すると約12,200円。掛金が全額控除されるので、保険料より効きます。
- 住宅ローン控除:20万円で約90,300円。20万円まるごと効かないのは、この人の算出所得税額が88,500円しかなく引ききれないためです。引ききれない分は翌年度の住民税から控除されます(上限あり)。
年収700万円(同じ前提)なら、生命保険料控除4万円で約8,200円、控除12万円で約24,500円、iDeCo年24万円で約42,900円、住宅ローン控除20万円で約204,200円です。生命保険料控除とiDeCoは所得控除なので、適用される税率が上がるほど同じ控除額でも戻る額が大きくなります。一方の住宅ローン控除は税額から直接引く税額控除なので税率には左右されず、算出所得税額から引ききれるかどうかで決まります(上の年収500万円で20万円ぶんまるごと効かないのはそのためです)。
注意が必要なのは給与から天引きされているiDeCo・企業型DCのマッチング拠出・小規模企業共済です。これらは毎月の源泉徴収でもすでに社会保険料等として控除されているため、年末調整で追加で戻るのは上の額より小さくなり、還付がかえって減ることもあります(毎月の手取りが増えているぶん、12月に戻る額は少なくなります)。年末調整 還付金シミュレーターは掛金の払い方を選べるようにしていて、結果欄の「還付に効いている控除」にはその控除を外して年調年税額を計算し直した差額を表示します。外しても年調年税額が変わらない人——課税所得が0のままの人、住宅ローン控除で税額が0のままの人——には0円と出ます。給与天引きの掛金だけは例外で、年調年税額の差から源泉徴収税額の差を引いた「年末調整で戻る金額の増減」を表示します(源泉徴収税額を推定しているときに限ります。マイナスになることもあります)。
年末調整の還付金はいつ振り込まれる?
年末調整はその年最後に支払う給与について行うことになっていて(所得税法190条)、払いすぎていた税額は、その給与から徴収すべき所得税に充当するか本人に還付します(同191条。国税庁「年末調整のしかた」の「過不足額の精算」)。したがって、通常は12月の給与と一緒に支払われます。給与明細の「年末調整還付」「所得税還付」などの項目、または所得税がマイナス表記になっていれば、それが還付額です。追徴の場合も同じタイミングで給与から差し引かれます。
1月の給与になることもあります。過納額が12月の源泉徴収税額に充当しきれない場合、残りは翌年に支払う給与の源泉徴収税額から順次還付されるためです(国税庁「年末調整のしかた」過納額の還付)。追徴も同じで、その年最後の給与で徴収しきれない不足額は翌年の給与から順次徴収されます(所得税法192条)。還付は原則として勤務先から給与と一緒に受け取るもので、確定申告の還付金のように税務署から個人の口座へ直接振り込まれるのは、勤務先が還付できなくなった場合などの例外です。時期は勤務先によって違うので、給与明細か担当部署で確認してください。会社から受け取る「給与所得の源泉徴収票」の「源泉徴収税額」欄には、還付・追徴を反映した後の正しい年税額が記載されます。
控除の書類を出し忘れた場合は、勤務先がその年分の源泉徴収票を交付する日までであれば年末調整をやり直してもらえます(国税庁「令和8年年末調整Q&A」問12、タックスアンサー No.2671)。給与の源泉徴収票の交付期限は翌年1月31日なので、実際にはそこが目安です(所得税法226条1項)。それ以降は自分で確定申告をして還付を受けます。給与所得者の還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間できます(国税庁 タックスアンサー No.2030)。配られた源泉徴収票の読み方と、還付額が正しかったかを検算する手順は源泉徴収票の見方:手取りと還付を逆算する(令和8年分)にまとめています。
なお、年末調整の結果は翌年度の住民税にも反映されます。住民税は前年の所得をもとに計算され、6月から翌年5月にかけて給与から引かれます(住民税 計算ツールで試算できます)。年末調整で控除が増えれば、翌年6月からの住民税も下がります。ただし住民税の控除額には所得税より低い上限があるものがあり、そこに達していると住民税は下がりません——生命保険料控除は3区分の合計で所得税が最高12万円に対して住民税は最高7万円、地震保険料控除は所得税5万円に対して住民税2万5,000円です。区分ごとの上限は契約の時期で変わり、新契約(平成24年1月1日以降)は所得税4万円・住民税2万8,000円、旧契約(平成23年12月31日以前)は所得税5万円・住民税3万5,000円です(一般の生命保険料は令和8年分以降、23歳未満の扶養親族がいる場合に新契約の所得税の上限が6万円になります——国税庁 No.1140「令和8年分以降の申告の場合」。3区分の合計12万円は変わりません)。たとえば新契約の一般生命保険料を5万6,000円から8万円に増やすと、所得税の控除は3万4,000円→4万円に増えますが、住民税の控除は2万8,000円で頭打ちのままなので、住民税は変わりません(給与500万円・社会保険料75万円で所得税は88,600円→88,300円、住民税は237,600円のまま)。
年の途中で転職した人の年末調整
年の途中で就職した人は、前の勤務先の源泉徴収票を今の勤務先に出せば、前職の給与・社会保険料・源泉徴収税額を合わせて年末調整されます(国税庁 No.2674)。前職の源泉徴収票が無いと今の勤務先では年末調整ができず、確定申告で精算することになります。基礎控除や扶養控除は、働いた月数で按分せず全額が引かれます。
合わせられるのは、前の勤務先で扶養控除等申告書を出していた(甲欄の)給与です(所得税法190条1号・所得税基本通達190-2(3))。同じ前の勤務先で、扶養控除等申告書を出す前に乙欄・丙欄で受けた給与も含めます。甲欄から乙欄に切り替わった後の給与と、掛け持ちの2か所目のように最後まで乙欄だけだった給与は、確定申告で精算します(給与2か所の確定申告 要否と還付額)。退職金(退職所得)は年末調整に含めません。
例A:前職6か月+現職6か月(令和8年分)
前職は月30万円×6か月(社会保険料 月4.5万円、源泉徴収 月6,320円)、現職は月32万円×6か月(社会保険料 月4.8万円、源泉徴収 月6,960円)、扶養なし・賞与なし。源泉徴収税額は令和8年分の月額表(甲欄)の額です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与収入(前職1,800,000+現職1,920,000) | 3,720,000円 |
| 給与所得(3,720,000×80%−440,000) | 2,536,000円 |
| 社会保険料控除(270,000+288,000) | −558,000円 |
| 基礎控除(按分しない) | −1,040,000円 |
| 課税給与所得金額 | 938,000円 |
| 年調年税額(46,900円×102.1%、100円未満切捨て) | 47,800円 |
| 源泉徴収税額(前職37,920+現職41,760) | 79,680円 |
| 還付される金額 | 31,880円 |
例B:前職3か月、無職の期間のあと現職3か月
前職は月20万円×3か月(社会保険料 月3万円、源泉徴収 月3,270円)、現職は月25万円×3か月(社会保険料 月3.75万円、源泉徴収 月4,770円)。給与収入は合わせて135万円、給与所得は135万円−74万円=61万円で、基礎控除104万円を引くと所得税は0円です。前職9,810円と現職14,310円の24,120円が全部戻ります。前職の源泉徴収票を出さないと、今の勤務先では年末調整ができず(国税庁 No.2674)、前職と現職の分を合わせて確定申告で精算することになります。詳しくは転職した年の年末調整で説明しています。
2つの例は年末調整 還付金シミュレーターの「前職の源泉徴収票」の欄に入れると同じ結果になります。転職の合間に自分で払った国民年金保険料・国民健康保険料などは、保険料控除申告書で申告すれば控除されるので、ツールでは今の勤務先の「社会保険料」に足して入れてください。
年末調整で処理できないもの
医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合)、住宅ローン控除の初年度、雑損控除は年末調整では扱えず、翌年に確定申告をすることになります(年末調整でできないもの一覧と確定申告の準備)。また、給与収入が2,000万円を超える人、副業などで2か所以上から給与を受けている人(主たる勤務先以外の分)は年末調整の対象外です。
まとめ
- 年末調整の還付は、毎月多めに天引きされていた所得税が、控除を反映した正しい年税額との差額として戻る仕組み。
- 令和8年分は給与所得控除の最低保障74万円、基礎控除104/67/62万円、扶養の所得要件62万円という改正が12月1日施行で適用されるため、還付が例年より大きくなる人が多い。
- 給与所得→所得控除→課税所得→税率→102.1%の順に計算すれば、自分の還付額はおおよそ見積もれる。
- 還付金は原則として勤務先から12月(会社によっては1月)の給与と一緒に支払われる。確定申告の還付とは別で、税務署から直接振り込まれるのは例外。
よくある質問
年末調整の書類の提出期限はいつですか?
国税庁の手続の案内では、基礎控除申告書(兼 配偶者控除等申告書など)と保険料控除申告書は「その年最後に給与等の支払を受ける日の前日まで」に提出するものとされています(A2-3・A2-4)。扶養控除等(異動)申告書は、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途就職の場合は就職後最初の給与の支払を受ける日の前日)までに出すもので、記載内容に異動があったときは、その異動の日後最初に給与の支払を受ける日の前日までに出し直します(A2-1)。実際の締切は勤務先が年末調整の事務に合わせて決めるので、勤務先の案内を確認してください。
年の途中で退職した人も年末調整を受けられますか?
原則として受けられません。年の途中で年末調整の対象になるのは、①海外支店等への転勤などで非居住者となった人 ②死亡によって退職した人 ③著しい心身の障害のために退職した人(退職後に再就職して給与を受け取る見込みのある人を除く)④12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人 ⑤パートタイマーなどが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下の人(退職後その年にほかの勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人を除く)です(国税庁 No.2665)。それ以外の人は、年内に再就職すれば新しい勤務先に前職の源泉徴収票を出して合わせて年末調整を受け(No.2674)、再就職しなければ確定申告で精算します。納めすぎを返してもらうだけの還付申告は、翌年1月1日から5年間できます(No.2030)。
年末調整を受けたら、確定申告は必要ありませんか?
給与を1か所から受けていて年末調整を受けた人は、多くの場合確定申告は要りません。ただし、給与を1か所から受けていて、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人、給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得・退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人などは確定申告が必要です(国税庁 No.1900。確定申告をすれば税金が還付される人は除かれます)。給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は、そもそも年末調整の対象外で、確定申告が必要です(No.2665・No.1900)。また、医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合)・住宅ローン控除の初年度は年末調整では扱えないので、これらを受けるには確定申告(還付申告)をします(No.2030)。
根拠資料
- 国税庁「令和7年分 年末調整のしかた」、「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」、「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」(月額表 甲欄、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表)
- 国税庁タックスアンサー No.2674(中途就職者の年末調整)、所得税法190条1号・所得税基本通達190-2(前の支払者の給与の通算)
- 国税庁タックスアンサー No.1410(給与所得控除)、No.1191・No.1195(配偶者控除・配偶者特別控除)、No.1180(扶養控除)、No.1140(生命保険料控除)、No.1145(地震保険料控除)、No.1213(住宅借入金等特別控除)
- 「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)
- 所得税法 第190条(年末調整)、第191条(過納額の還付)、第192条(不足額の徴収)、第226条第1項(源泉徴収票の交付期限)、国税庁 タックスアンサー No.2671(年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき)、No.2030(還付申告)、国税庁「令和8年年末調整Q&A」問12(年末調整のやり直し)
- 国税庁 タックスアンサー No.2665(年末調整の対象となる人。給与の総額が2,000万円を超える人は対象外、年の中途で行う年末調整の対象=非居住者となった人・死亡退職・著しい心身の障害による退職・12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後の退職・パートタイマー等で本年中の給与の総額136万円以下)、No.1900(給与所得者で確定申告が必要な人)(いずれも令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 税務手続の案内「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」「A2-3 給与所得者の保険料控除の申告」「A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告」(各申告書の提出時期)
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さらに詳しく(note)
- 令和8年分 年末調整の書類、欄ごとの書き方と損をしないチェック(note・有料・980円):3枚の申告書の欄ごとの記入例
- 令和8年分 年末調整:出す書類と期限、会社ごとの違い(note・有料・980円):何を・いつまでに・誰に出すか、前職・途中入社・2か所給与・扶養の変更
- 年末調整で「戻る人」と「追加で引かれる人」の違い——今年(令和8年分)は例年より戻る人が多い理由(note・無料):還付になる人と追加で引かれる人の分かれ目