2026年の年収の壁一覧と「働き損」の正体
結論:2026年の主な年収の壁は、税では配偶者控除・扶養控除の所得要件の給与136万円と本人に所得税がかかり始める給与178万円など、社会保険では51人以上の勤務先での週20時間と、健康保険の被扶養者から外れる年収130万円(19〜22歳は150万円、60歳以上・障害者は180万円)で、手取りがはっきり減る「働き損」はほぼ社会保険の壁で起きます。対象は、配偶者や親の扶養の範囲で働くパート・アルバイトの人(学生を含む)と、その人を扶養している家族です。
「103万円の壁」という言い方はもう使えません。令和7年と令和8年の税制改正で税の壁の位置が大きく動き、さらに2026年10月1日には社会保険の賃金要件(月8.8万円以上)が撤廃されて「106万円の壁」がなくなりました。この記事では、令和8年時点でどこに壁があるのか、どの壁が本当に手取りを減らすのかを整理します。
壁は「税の壁」と「社会保険の壁」の2種類ある
まず押さえておきたいのは、この2つはまったく性格が違うということです。
税の壁は、越えても手取りはほとんど減りません。税金は多くの場所で超えた分にだけかかる仕組み(累進・段階的な控除の逓減)なので、たいていは壁というより「坂」です。ただし段階的でない控除もあります。勤労学生控除は合計所得89万円(給与163万円)を1円超えると全額が消えるので、21歳の昼間部の学生では給与1,630,000円→1,630,001円で住民税が10,300円→36,800円、世帯の手取りが26,499円減ります。
崖のほとんどは社会保険の壁です。年収が1円増えたことで健康保険と年金の保険料が年20万円以上発生し、世帯の手取りがはっきり下がります。「働き損」と呼ばれる現象は、ほぼこの社会保険の壁のことです。
令和8年(2026年)の壁の一覧
| 年収 | 種類 | 何が起きるか | 手取りへの影響 |
|---|---|---|---|
| 時給×20時間×52週 (時給1,200円なら124.8万円) | 社会保険 | 51人以上の勤務先で週20時間以上働くと、勤務先の健康保険・厚生年金に加入 | 大きい(年15〜25万円減) |
| 105万6,000円 | 社会保険 | 月8.8万円の賃金要件。これが「106万円の壁」の正体。2026年10月1日に撤廃 | 2026年9月まで |
| 119万円 | 税(住民税) | 住民税の均等割・所得割がかかり始める(1級地・扶養親族なし) | ごく小さい(数千円) |
| 130万円 | 社会保険 | 健康保険の被扶養者から外れ、国民健康保険(20歳以上60歳未満なら国民年金も)を自分で払う | いちばん大きい(年25万円以上減) |
| 150万円 | 社会保険 | 19歳以上23歳未満(配偶者を除く)が被扶養者から外れる。令和7年10月1日から130万円→150万円 | 大きい(国民健康保険) |
| 180万円 | 社会保険 | 60歳以上・障害者が被扶養者から外れる | 大きい(国民健康保険) |
| 136万円 | 税 | 配偶者控除→配偶者特別控除、特定扶養控除→特定親族特別控除に切り替わる | 小さいがある。所得控除の額は同じだが、住民税の調整控除が下がる(特定扶養控除の人的控除の差18万円が、特定親族特別控除では0円になるため)。親の給与500万円・社会保険料75万円で調整控除11,500円→2,500円、住民税が年9,000円増える。さらに親の給与が850万円超で子が19〜22歳の場合は所得金額調整控除も外れる |
| 159万円 | 税 | 特定親族特別控除が63万円から減り始める(19〜22歳の子) | ゆるやか |
| 169万円 | 税 | 配偶者特別控除が38万円から減り始める | ゆるやか |
| 178万円 | 税 | 本人に所得税がかかり始める(給与所得控除74万円+基礎控除104万円) | 小さい |
| 197万円 | 税 | 特定親族特別控除が0になる(197万円ちょうどでは3万円残り、超えたところで0) | 控除の壁はここで終わり。ただし社会保険の標準報酬月額の等級が上がるところでは、その先も世帯手取りが一時的に下がります |
| およそ202万〜220万円 | 社会保険 | 学生納付特例の所得基準(合計所得128万円+社会保険料控除等)を超える(2026年の収入で決まるのは令和9年度=2027年4月からの猶予) | 大きい(令和9年度の保険料で年21万9,480円=月18,290円×12) |
| 207万円 | 税 | 配偶者特別控除が0になる | 控除の壁はここで終わり。ただし社会保険の標準報酬月額の等級が上がるところでは、その先も世帯手取りが一時的に下がります(本人の給与209.9万円→210万円で世帯手取り13,528円減の例あり) |
「103万円の壁」はどこへ行ったか
令和6年まで、給与収入103万円は「本人に所得税がかかり始める額」でした。給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円だったからです。令和7年度税制改正でこれが65万円+95万円=160万円になり、令和8年度税制改正でさらに74万円+104万円=178万円まで上がりました。
| 項目 | 令和6年分まで | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|---|
| 給与所得控除の最低保障額 | 55万円 | 65万円 | 74万円 |
| 基礎控除(低所得層) | 48万円 | 95万円 | 104万円 |
| 所得税がかからない給与収入 | 103万円 | 160万円 | 178万円 |
| 配偶者控除・扶養控除の所得要件 | 48万円(給与103万円) | 58万円(給与123万円) | 62万円(給与136万円) |
令和8年分の基礎控除104万円は、所得税法86条の本則62万円に、租税特別措置法の特例加算42万円(合計所得489万円以下・令和8年分と令和9年分限り)を足した額です。令和10年分以降は加算が縮小されるため、178万円というラインは2年限りの数字です。
それでも「103万円まで」と決めて働いている人は多く、家族手当の支給条件が就業規則で「配偶者の年収103万円以下」のまま残っている会社もあります。手当が月1万5,000円なら年18万円です。手当も給与なので税金と社会保険料が引かれており、手取りベースでは年12万〜15万円ほどですが、それでも税の壁より大きな崖です。会社の家族手当の条件も確認してください。
2026年10月1日に「106万円の壁」がなくなった
令和7年6月に成立した年金制度改正法(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)により、短時間労働者が社会保険に入る要件のうち「所定内賃金が月額8.8万円以上」が2026年10月1日に撤廃されました。最低賃金が上がって、週20時間働けばほぼ自動的に月8.8万円を超えるようになり、この要件が意味をなさなくなったためです。
その結果、51人以上の勤務先で働く人にとって壁は「年収106万円」ではなく「週20時間」になりました。年収でいくらになるかは時給しだいです。
| 時給 | 週20時間の年収 | 2026年9月まで(月8.8万円要件あり) | 2026年10月1日以降 |
|---|---|---|---|
| 1,100円 | 114万4,000円 | 114万4,000円で加入 | 114万4,000円で加入(変わらず) |
| 1,200円 | 124万8,000円 | 124万8,000円で加入 | 124万8,000円で加入(変わらず) |
| 1,500円 | 156万円 | 156万円で加入 | 156万円で加入(変わらず) |
時給が1,016円以上なら週20時間で月8.8万円を超えます。令和7年度の改定で地域別最低賃金はすべての都道府県で1,016円を上回っているので(厚生労働省「地域別最低賃金 全国一覧」)、ほとんどの人にとって実質的な変化はありません。時給が1,016円を下回るのは最低賃金の減額特例の許可を受けている場合などで、所定内賃金が月8.8万円未満のその人たち(特定減額特例対象者)は、撤廃後も原則として加入の対象外で、事業主を通じて申し出れば加入できます(日本年金機構「特定減額特例対象者」)。
逆にいうと、時給が高い人ほど勤務先の社会保険に入る点は高い年収に来ます。時給1,500円なら週20時間は156万円です。ただしこれは「156万円まで社会保険と無関係」という意味ではありません。週20時間に届かないまま年収が130万円(19〜22歳の子は150万円、60歳以上は180万円)に達すれば、そこで健康保険の被扶養者から外れ、国民健康保険を自分で払うこと(国民年金は20歳以上60歳未満のみ。昼間部の学生は学生納付特例を申請すれば猶予されます)になります。時給が高い人は、勤務先の社会保険より先に130万円の壁に当たるということです。
自分が社会保険に入るかどうかの判定フロー
- 週の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、その職場の通常の労働者の4分の3以上か週40時間の職場なら30時間以上。時間と日数の両方を満たす必要があります。ここに当てはまれば、勤務先の規模も学生かどうかも関係なく健康保険・厚生年金に加入します。
- そうでないなら、次の4つをすべて満たすか①週の所定労働時間が20時間以上 ②2か月を超える雇用の見込みがある ③学生でない(夜間・通信・定時制は除く) ④勤務先の厚生年金の被保険者数が51人以上。2026年9月までは、これに加えて「所定内賃金が月8.8万円以上」も必要でした。
- どちらにも当てはまらないなら、収入が被扶養者の基準未満か基準は130万円未満。ただし19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)は令和7年10月から150万円未満、60歳以上・障害者は180万円未満です。加えて生計維持の条件があります。同居なら「扶養者の年間収入の2分の1未満」で、2分の1以上でも扶養者の年収を上回らず、扶養者が世帯の生計維持の中心であれば認められることがあります。別居なら「扶養者からの仕送り額より少ないこと」が条件です。判断するのは加入している健康保険です。扶養者の収入が少ない世帯(パート同士の共働きなど)や、仕送りが少ない別居の学生では、130万円・150万円に届かなくても扶養に入れないことがあります。条件を満たせば健康保険料の負担はありません。
- 国民年金は健康保険とは別に判定する保険料がかからない第3号被保険者になれるのは「厚生年金の被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者」だけです。20歳以上のお子さんは、親の健康保険の被扶養者であっても第1号被保険者で、国民年金保険料がかかります(学生納付特例で猶予できます)。20歳未満と60歳以上は国民年金の強制加入の対象外です。
- 基準以上なら、自分で国民健康保険(と、20歳以上60歳未満なら国民年金)に入る国民年金保険料は令和8年度で月17,920円(年215,040円)。国民健康保険料は市区町村によってまったく違い、年収130万円なら年8万〜12万円ほどが目安です。合わせて年30万円前後の負担になります。
もう1つ、税と社会保険で条件が違う点があります。配偶者控除・扶養控除・特定親族特別控除は「生計を一にする」ことが要件で、別居でも常に生活費等の送金があれば当てはまります。一方、健康保険の被扶養者は別居だと「仕送り額より少ないこと」が必要です。つまり仕送りが年100万円で本人の年収が120万円なら、税の扶養控除は使えるのに健康保険の扶養からは外れる、ということが起こります。
ここでよくある誤解が2つあります。1つは均等割の軽減です。国民健康保険料の均等割は所得が低いと7割・5割・2割減りますが、判定に使うのは本人の所得ではなく世帯主(国保に入っていない世帯主も含む)と国保加入者の所得の合計です。扶養者が世帯主なら扶養者の所得も入るので、扶養を外れたパートの方に軽減が効くことはほとんどありません。もう1つは国民年金の免除で、こちらも世帯主・配偶者の所得で判定されるため、扶養者に収入がある世帯では通りません。学生納付特例だけは本人の所得で判定します。
2と3の違いが、社会保険の加入の壁(2026年9月までの「106万円の壁」、いまは週20時間)と「130万円の壁」です。50人以下の勤務先で働いていれば2には当てはまらないので、壁は130万円まで来ません。逆に51人以上の勤務先なら、130万円よりずっと手前の週20時間で壁が来ます。ここが多くの人の誤解しているところです。
なお、企業規模要件は今後段階的に下がります。2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に撤廃という予定です。いま50人以下の職場で130万円まで働いている方も、数年のうちに週20時間で加入することになります。
「働き損」はどのくらい続くのか
社会保険の壁を1円越えると、手取りは年15万〜25万円下がります。ただし下がったままではありません。そこからさらに働けば、いつかは元の手取りに戻ります。
たとえば時給1,200円・51人以上の勤務先・扶養者の年収500万円というケースだと、週20時間(年収124.8万円)で社会保険に入って世帯の手取りが約17.7万円下がり、年収145.6万円(週約23.3時間)まで働くと元に戻ります。週にすると3時間ちょっとです。50人以下の勤務先で130万円の壁に当たった場合は、下がり幅が約28.5万円で、元に戻るのは年収163.3万円あたりになります。
この「回復点」を知っておくと判断が変わります。壁の手前で止めるか、回復点まで一気に働くか。どちらつかずの位置がいちばん損です。
厚生年金に入ることは損なのか
手取りだけを見れば下がります。ただし、払った保険料は消えるわけではありません。
- 保険料の半分は会社が払っています。厚生年金の保険料率18.3%のうち本人負担は9.15%です。国民年金を自分で全額払う場合(月17,920円)と比べると、同じ負担でより多くの年金が積み上がります。
- 老齢厚生年金が増えます。報酬比例部分は「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」で計算します。標準報酬月額10万4,000円で1年働けば年約6,800円、20年受け取れば約13万6,000円です。これが年金を受け取る間ずっと続きます。
- 健康保険の給付が増えます。被扶養者のままだと受けられない傷病手当金(病気やけがで働けないときに標準報酬日額の3分の2)と出産手当金の対象になります(額の目安は傷病手当金シミュレーター)。
- 障害厚生年金・遺族厚生年金の保障が加わります。国民年金だけの障害基礎年金は障害等級1級・2級だけですが、厚生年金には3級と障害手当金があります。
- 雇用保険にも入ります。週20時間以上で31日以上の雇用見込みがあれば雇用保険の対象で、失業給付や育児休業給付が受けられます。本人負担は賃金の0.5%です。健康保険・厚生年金の「2か月を超える雇用の見込み」とは必要な期間が違うので、2か月契約でも雇用保険には入ります。
一方、130万円を超えて国民健康保険(20歳以上60歳未満なら国民年金も)を自分で払うのは、会社の負担がない分だけ純粋に不利です。同じ「壁を越える」でも、勤務先の社会保険に入るのと、被扶養者から外れて国保に移るのとでは意味が違います。50人以下の勤務先で130万円を超えそうなら、週30時間(4分の3基準)まで働いて勤務先の社会保険に入るほうが得になることがあります。
学生の壁は少し違う
19〜22歳の学生(親の扶養に入っている場合)は、次の点が配偶者と違います。
- 社会保険の適用拡大(週20時間・51人以上)の対象外です。昼間部の学生は要件から除かれているので、週20時間で加入することはありません。ただし週30時間(4分の3基準)以上働けば学生でも加入します。夜間部・通信制・定時制の学生は適用拡大の対象になり、雇用保険にも入ります。一方、国民年金の学生納付特例と勤労学生控除は、夜間・通信制・定時制の学生も対象です(「昼間学生かどうか」で分かれるのは社会保険と雇用保険だけです)。
- 健康保険の壁は150万円です。被扶養者の認定に学生の除外はありませんが、19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)は令和7年10月1日以降の扶養認定日から、収入基準が130万円未満ではなく150万円未満になっています。年齢は認定日が属する年の12月31日時点で判定します。
- 国民年金は20歳から、扶養に入っていてもかかります。第3号被保険者になれるのは配偶者だけなので、20歳に達した日(誕生日の前日)に国民年金の第1号被保険者になり、その日が属する月の分から保険料(令和8年度は月17,920円)が発生します。150万円の壁で増えるのは国民健康保険料だけです。
- 税の面では、親の控除は136万円までが満額、197万円を超えたところで消えます。給与136万円(合計所得62万円)までは特定扶養親族として63万円の扶養控除、それを超えると特定親族特別控除に切り替わり、159万円から段階的に減って197万円を超えたところで0になります(197万円ちょうど=合計所得123万円では3万円残り、1円超えると親の税負担が約9,100円増えます)。136万円を超えた瞬間に控除が消えるわけではありません。
- その国民年金は学生納付特例で猶予できます。所得基準は「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」です。審査に使うのは申請する年度の前年の所得なので、2026年の収入で決まるのは令和9年度(2027年4月〜2028年3月)分の猶予です(令和8年度分は2025年の所得で審査されます)。2026年の収入で見ると、ほかに所得も社会保険料もなければ給与収入202万円までですが、150万円を超えて国民健康保険料を払っている場合はその分だけ基準が上がり、給与220万円前後まで猶予を受けられます。猶予は免除ではなく、10年以内に追納しないと将来の年金額には反映されません(受給資格期間には算入されます)。
- 勤労学生控除は住民税でしか効きません。所得税は合計所得104万円まで基礎控除で0になるので、合計所得89万円以下が要件の勤労学生控除(27万円)は所得税では出番がありません。住民税では基礎控除43万円+勤労学生控除26万円=69万円となり、給与収入143万円あたりまで所得割がかかりません。
やるべきことは3つ
- 勤務先の厚生年金の被保険者数を確認する。51人以上か50人以下かで、壁が週20時間に来るか130万円に来るかが変わります。給与明細や勤務先の担当部署で確認できます。
- 扶養者の会社の家族手当の条件を確認する。就業規則に「配偶者の年収103万円以下」と書かれたまま更新されていない会社があります。月1万5,000円でも年18万円で、税の壁よりはるかに大きい崖です。
- 越えるなら回復点まで働く。壁の手前で止めるか、回復点を越えるか。中途半端な位置がいちばん手取りが減ります。
12月の賞与や残業で壁を超えそうになったときの数え方と、超えた後の年末調整のやり直し・確定申告は年収の壁、年末に超えそうなときの確認手順(令和8年分)にまとめています。
よくある質問
106万円の壁はいつなくなりましたか?
短時間労働者が勤務先の健康保険・厚生年金に入る要件のうち、「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件は2026年(令和8年)10月1日に撤廃されました(日本年金機構)。週の所定労働時間が20時間以上、勤務先の厚生年金の被保険者数が51人以上、学生でない、といった要件は残るので、51人以上の勤務先では年収ではなく週20時間が加入の分かれ目になります。最低賃金の減額の特例許可を受けていて所定内賃金が月額8.8万円未満の人(特定減額特例対象者)は、撤廃後も原則として加入の対象外で、申し出れば加入できます。
130万円の壁は、1月から12月までの年収で判定しますか?
いいえ。健康保険の被扶養者の年間収入は、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額で判定します。給与収入なら月額108,333円以下であれば要件を満たします。基準は130万円未満で、60歳以上または障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)は150万円未満です。あわせて、同居なら扶養者の収入の半分未満、別居なら扶養者からの仕送り額未満であることも必要です(日本年金機構)。一方、税の壁(136万円・178万円など)は、その年の1月から12月までに支払日が来た給与で数えます(支給日が定められている給与はその支給日、定められていないものは支給を受けた日の年の収入。国税庁 No.2509)。
一時的に130万円を超えたら、すぐに扶養から外れますか?
一時的に収入が基準を超えた場合は、事業主の証明を添付することで、原則として連続2回までは引き続き扶養に入り続けることができます(厚生労働省「年収の壁」への対応)。認定を判断するのは加入している健康保険(保険者)なので、年末の繁忙などで超えそうなときは、勤務先と扶養者の健康保険に相談してください。
配偶者控除と配偶者特別控除の違いは何ですか?
どちらも配偶者がいる人の所得税の控除で、配偶者の合計所得金額で分かれます。令和8年分は、配偶者の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら給与収入136万円以下)なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除です。控除を受ける人の合計所得金額が900万円以下なら、配偶者控除は38万円(70歳以上の老人控除対象配偶者は48万円)、配偶者特別控除は配偶者の所得が95万円以下までは38万円で、そこから段階的に減り、130万円超133万円以下で3万円になります。どちらも控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円を超えると受けられず、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません(国税庁 No.1191・No.1195)。給与136万円を超えても控除額がすぐに減るわけではないのは、このためです。
根拠資料
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」(基礎控除62万円+令和8・9年分の特例加算42万円、給与所得控除の最低保障額74万円、扶養親族等の所得要件62万円)
- 国税庁 タックスアンサー No.1191(配偶者控除)・No.1195(配偶者特別控除)・No.1180(扶養控除)・No.1175(勤労学生控除)・No.1411(所得金額調整控除)・No.2508(給与所得となるもの)、特定親族特別控除の案内
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」(週20時間・2か月超・学生でない・51人以上。月8.8万円の賃金要件は令和8年10月1日に撤廃、企業規模要件は令和9年10月に36人以上、令和11年10月に21人以上、令和14年10月に11人以上、令和17年10月に撤廃。厚生労働省「年金制度改正法の主な改正内容」)
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」(令和7年年金制度改正法)、「年収の壁」への対応
- 日本年金機構「国民年金保険料」(令和8年度 月額17,920円)、「国民年金保険料の『2年前納』制度」(令和9年度 月額18,290円)、「国民年金保険料の学生納付特例制度」、「国民年金の被保険者」(第3号は第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者)、「報酬比例部分」(給付乗率5.481/1000)
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」(2026年10月1日。所定内賃金が月額8.8万円以上の要件を撤廃、労働時間・企業規模・学生でない要件は継続、特定減額特例対象者の扱い)
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(2026年9月30日更新。年間収入130万円未満・60歳以上または障害者は180万円未満・19歳以上23歳未満は150万円未満、年間収入は認定日以降の見込み収入額、給与なら月額108,333円以下、同居は扶養者の収入の半分未満・別居は仕送り額未満)
- 国税庁 タックスアンサー No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期(支給日が定められている給与はその支給日、定められていないものは支給を受けた日。令和8年4月1日現在法令等)
- 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」(令和7年10月1日以降、被保険者の配偶者を除く19歳以上23歳未満は150万円未満)
- 総務省「個人住民税」、地方税法295条・附則3条の3(非課税限度額とその調整措置)
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