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2026年の年収の壁一覧と「働き損」の正体

令和8年(2026年)の制度対応 最終更新:2026年10月6日

結論:2026年の主な年収の壁は、税では配偶者控除・扶養控除の所得要件の給与136万円と本人に所得税がかかり始める給与178万円など、社会保険では51人以上の勤務先での週20時間と、健康保険の被扶養者から外れる年収130万円(19〜22歳は150万円、60歳以上・障害者は180万円)で、手取りがはっきり減る「働き損」はほぼ社会保険の壁で起きます。対象は、配偶者や親の扶養の範囲で働くパート・アルバイトの人(学生を含む)と、その人を扶養している家族です。

「103万円の壁」という言い方はもう使えません。令和7年と令和8年の税制改正で税の壁の位置が大きく動き、さらに2026年10月1日には社会保険の賃金要件(月8.8万円以上)が撤廃されて「106万円の壁」がなくなりました。この記事では、令和8年時点でどこに壁があるのか、どの壁が本当に手取りを減らすのかを整理します。

自分の場合に壁がどこに来るかは、年収の壁 世帯手取りシミュレーターで計算できます。時給・週の労働時間・勤務先の従業員数を入れると、世帯の手取りのグラフと、働き損になる収入帯・そこを越えて元に戻る収入が出ます。

壁は「税の壁」と「社会保険の壁」の2種類ある

まず押さえておきたいのは、この2つはまったく性格が違うということです。

税の壁は、越えても手取りはほとんど減りません。税金は多くの場所で超えた分にだけかかる仕組み(累進・段階的な控除の逓減)なので、たいていは壁というより「坂」です。ただし段階的でない控除もあります。勤労学生控除は合計所得89万円(給与163万円)を1円超えると全額が消えるので、21歳の昼間部の学生では給与1,630,000円→1,630,001円で住民税が10,300円→36,800円、世帯の手取りが26,499円減ります。

崖のほとんどは社会保険の壁です。年収が1円増えたことで健康保険と年金の保険料が年20万円以上発生し、世帯の手取りがはっきり下がります。「働き損」と呼ばれる現象は、ほぼこの社会保険の壁のことです。

令和8年(2026年)の壁の一覧

年収種類何が起きるか手取りへの影響
時給×20時間×52週
(時給1,200円なら124.8万円)
社会保険51人以上の勤務先で週20時間以上働くと、勤務先の健康保険・厚生年金に加入大きい(年15〜25万円減)
105万6,000円社会保険月8.8万円の賃金要件。これが「106万円の壁」の正体。2026年10月1日に撤廃2026年9月まで
119万円税(住民税)住民税の均等割・所得割がかかり始める(1級地・扶養親族なし)ごく小さい(数千円)
130万円社会保険健康保険の被扶養者から外れ、国民健康保険(20歳以上60歳未満なら国民年金も)を自分で払ういちばん大きい(年25万円以上減)
150万円社会保険19歳以上23歳未満(配偶者を除く)が被扶養者から外れる。令和7年10月1日から130万円→150万円大きい(国民健康保険)
180万円社会保険60歳以上・障害者が被扶養者から外れる大きい(国民健康保険)
136万円税配偶者控除→配偶者特別控除、特定扶養控除→特定親族特別控除に切り替わる小さいがある。所得控除の額は同じだが、住民税の調整控除が下がる(特定扶養控除の人的控除の差18万円が、特定親族特別控除では0円になるため)。親の給与500万円・社会保険料75万円で調整控除11,500円→2,500円、住民税が年9,000円増える。さらに親の給与が850万円超で子が19〜22歳の場合は所得金額調整控除も外れる
159万円税特定親族特別控除が63万円から減り始める(19〜22歳の子)ゆるやか
169万円税配偶者特別控除が38万円から減り始めるゆるやか
178万円税本人に所得税がかかり始める(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)小さい
197万円税特定親族特別控除が0になる(197万円ちょうどでは3万円残り、超えたところで0)控除の壁はここで終わり。ただし社会保険の標準報酬月額の等級が上がるところでは、その先も世帯手取りが一時的に下がります
およそ202万〜220万円社会保険学生納付特例の所得基準(合計所得128万円+社会保険料控除等)を超える(2026年の収入で決まるのは令和9年度=2027年4月からの猶予)大きい(令和9年度の保険料で年21万9,480円=月18,290円×12)
207万円税配偶者特別控除が0になる控除の壁はここで終わり。ただし社会保険の標準報酬月額の等級が上がるところでは、その先も世帯手取りが一時的に下がります(本人の給与209.9万円→210万円で世帯手取り13,528円減の例あり)

「103万円の壁」はどこへ行ったか

令和6年まで、給与収入103万円は「本人に所得税がかかり始める額」でした。給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円だったからです。令和7年度税制改正でこれが65万円+95万円=160万円になり、令和8年度税制改正でさらに74万円+104万円=178万円まで上がりました。

項目令和6年分まで令和7年分令和8年分
給与所得控除の最低保障額55万円65万円74万円
基礎控除(低所得層)48万円95万円104万円
所得税がかからない給与収入103万円160万円178万円
配偶者控除・扶養控除の所得要件48万円(給与103万円)58万円(給与123万円)62万円(給与136万円)

令和8年分の基礎控除104万円は、所得税法86条の本則62万円に、租税特別措置法の特例加算42万円(合計所得489万円以下・令和8年分と令和9年分限り)を足した額です。令和10年分以降は加算が縮小されるため、178万円というラインは2年限りの数字です。

それでも「103万円まで」と決めて働いている人は多く、家族手当の支給条件が就業規則で「配偶者の年収103万円以下」のまま残っている会社もあります。手当が月1万5,000円なら年18万円です。手当も給与なので税金と社会保険料が引かれており、手取りベースでは年12万〜15万円ほどですが、それでも税の壁より大きな崖です。会社の家族手当の条件も確認してください。

2026年10月1日に「106万円の壁」がなくなった

令和7年6月に成立した年金制度改正法(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)により、短時間労働者が社会保険に入る要件のうち「所定内賃金が月額8.8万円以上」が2026年10月1日に撤廃されました。最低賃金が上がって、週20時間働けばほぼ自動的に月8.8万円を超えるようになり、この要件が意味をなさなくなったためです。

その結果、51人以上の勤務先で働く人にとって壁は「年収106万円」ではなく「週20時間」になりました。年収でいくらになるかは時給しだいです。

時給週20時間の年収2026年9月まで(月8.8万円要件あり)2026年10月1日以降
1,100円114万4,000円114万4,000円で加入114万4,000円で加入(変わらず)
1,200円124万8,000円124万8,000円で加入124万8,000円で加入(変わらず)
1,500円156万円156万円で加入156万円で加入(変わらず)

時給が1,016円以上なら週20時間で月8.8万円を超えます。令和7年度の改定で地域別最低賃金はすべての都道府県で1,016円を上回っているので(厚生労働省「地域別最低賃金 全国一覧」)、ほとんどの人にとって実質的な変化はありません。時給が1,016円を下回るのは最低賃金の減額特例の許可を受けている場合などで、所定内賃金が月8.8万円未満のその人たち(特定減額特例対象者)は、撤廃後も原則として加入の対象外で、事業主を通じて申し出れば加入できます(日本年金機構「特定減額特例対象者」)。

逆にいうと、時給が高い人ほど勤務先の社会保険に入る点は高い年収に来ます。時給1,500円なら週20時間は156万円です。ただしこれは「156万円まで社会保険と無関係」という意味ではありません。週20時間に届かないまま年収が130万円(19〜22歳の子は150万円、60歳以上は180万円)に達すれば、そこで健康保険の被扶養者から外れ、国民健康保険を自分で払うこと(国民年金は20歳以上60歳未満のみ。昼間部の学生は学生納付特例を申請すれば猶予されます)になります。時給が高い人は、勤務先の社会保険より先に130万円の壁に当たるということです。

自分が社会保険に入るかどうかの判定フロー

  1. 週の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、その職場の通常の労働者の4分の3以上か週40時間の職場なら30時間以上。時間と日数の両方を満たす必要があります。ここに当てはまれば、勤務先の規模も学生かどうかも関係なく健康保険・厚生年金に加入します。
  2. そうでないなら、次の4つをすべて満たすか①週の所定労働時間が20時間以上 ②2か月を超える雇用の見込みがある ③学生でない(夜間・通信・定時制は除く) ④勤務先の厚生年金の被保険者数が51人以上。2026年9月までは、これに加えて「所定内賃金が月8.8万円以上」も必要でした。
  3. どちらにも当てはまらないなら、収入が被扶養者の基準未満か基準は130万円未満。ただし19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)は令和7年10月から150万円未満、60歳以上・障害者は180万円未満です。加えて生計維持の条件があります。同居なら「扶養者の年間収入の2分の1未満」で、2分の1以上でも扶養者の年収を上回らず、扶養者が世帯の生計維持の中心であれば認められることがあります。別居なら「扶養者からの仕送り額より少ないこと」が条件です。判断するのは加入している健康保険です。扶養者の収入が少ない世帯(パート同士の共働きなど)や、仕送りが少ない別居の学生では、130万円・150万円に届かなくても扶養に入れないことがあります。条件を満たせば健康保険料の負担はありません。
  4. 国民年金は健康保険とは別に判定する保険料がかからない第3号被保険者になれるのは「厚生年金の被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者」だけです。20歳以上のお子さんは、親の健康保険の被扶養者であっても第1号被保険者で、国民年金保険料がかかります(学生納付特例で猶予できます)。20歳未満と60歳以上は国民年金の強制加入の対象外です。
  5. 基準以上なら、自分で国民健康保険(と、20歳以上60歳未満なら国民年金)に入る国民年金保険料は令和8年度で月17,920円(年215,040円)。国民健康保険料は市区町村によってまったく違い、年収130万円なら年8万〜12万円ほどが目安です。合わせて年30万円前後の負担になります。

もう1つ、税と社会保険で条件が違う点があります。配偶者控除・扶養控除・特定親族特別控除は「生計を一にする」ことが要件で、別居でも常に生活費等の送金があれば当てはまります。一方、健康保険の被扶養者は別居だと「仕送り額より少ないこと」が必要です。つまり仕送りが年100万円で本人の年収が120万円なら、税の扶養控除は使えるのに健康保険の扶養からは外れる、ということが起こります。

ここでよくある誤解が2つあります。1つは均等割の軽減です。国民健康保険料の均等割は所得が低いと7割・5割・2割減りますが、判定に使うのは本人の所得ではなく世帯主(国保に入っていない世帯主も含む)と国保加入者の所得の合計です。扶養者が世帯主なら扶養者の所得も入るので、扶養を外れたパートの方に軽減が効くことはほとんどありません。もう1つは国民年金の免除で、こちらも世帯主・配偶者の所得で判定されるため、扶養者に収入がある世帯では通りません。学生納付特例だけは本人の所得で判定します。

2と3の違いが、社会保険の加入の壁(2026年9月までの「106万円の壁」、いまは週20時間)と「130万円の壁」です。50人以下の勤務先で働いていれば2には当てはまらないので、壁は130万円まで来ません。逆に51人以上の勤務先なら、130万円よりずっと手前の週20時間で壁が来ます。ここが多くの人の誤解しているところです。

なお、企業規模要件は今後段階的に下がります。2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に撤廃という予定です。いま50人以下の職場で130万円まで働いている方も、数年のうちに週20時間で加入することになります。

「働き損」はどのくらい続くのか

社会保険の壁を1円越えると、手取りは年15万〜25万円下がります。ただし下がったままではありません。そこからさらに働けば、いつかは元の手取りに戻ります。

たとえば時給1,200円・51人以上の勤務先・扶養者の年収500万円というケースだと、週20時間(年収124.8万円)で社会保険に入って世帯の手取りが約17.7万円下がり、年収145.6万円(週約23.3時間)まで働くと元に戻ります。週にすると3時間ちょっとです。50人以下の勤務先で130万円の壁に当たった場合は、下がり幅が約28.5万円で、元に戻るのは年収163.3万円あたりになります。

この「回復点」を知っておくと判断が変わります。壁の手前で止めるか、回復点まで一気に働くか。どちらつかずの位置がいちばん損です。

回復点は時給・勤務先・家族手当によって変わります。年収の壁 世帯手取りシミュレーターに条件を入れると、働き損になる収入帯と、元の手取りに戻る年収が計算できます。

厚生年金に入ることは損なのか

手取りだけを見れば下がります。ただし、払った保険料は消えるわけではありません。

一方、130万円を超えて国民健康保険(20歳以上60歳未満なら国民年金も)を自分で払うのは、会社の負担がない分だけ純粋に不利です。同じ「壁を越える」でも、勤務先の社会保険に入るのと、被扶養者から外れて国保に移るのとでは意味が違います。50人以下の勤務先で130万円を超えそうなら、週30時間(4分の3基準)まで働いて勤務先の社会保険に入るほうが得になることがあります。

学生の壁は少し違う

19〜22歳の学生(親の扶養に入っている場合)は、次の点が配偶者と違います。

やるべきことは3つ

  1. 勤務先の厚生年金の被保険者数を確認する。51人以上か50人以下かで、壁が週20時間に来るか130万円に来るかが変わります。給与明細や勤務先の担当部署で確認できます。
  2. 扶養者の会社の家族手当の条件を確認する。就業規則に「配偶者の年収103万円以下」と書かれたまま更新されていない会社があります。月1万5,000円でも年18万円で、税の壁よりはるかに大きい崖です。
  3. 越えるなら回復点まで働く。壁の手前で止めるか、回復点を越えるか。中途半端な位置がいちばん手取りが減ります。

12月の賞与や残業で壁を超えそうになったときの数え方と、超えた後の年末調整のやり直し・確定申告は年収の壁、年末に超えそうなときの確認手順(令和8年分)にまとめています。

よくある質問

106万円の壁はいつなくなりましたか?

短時間労働者が勤務先の健康保険・厚生年金に入る要件のうち、「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件は2026年(令和8年)10月1日に撤廃されました(日本年金機構)。週の所定労働時間が20時間以上、勤務先の厚生年金の被保険者数が51人以上、学生でない、といった要件は残るので、51人以上の勤務先では年収ではなく週20時間が加入の分かれ目になります。最低賃金の減額の特例許可を受けていて所定内賃金が月額8.8万円未満の人(特定減額特例対象者)は、撤廃後も原則として加入の対象外で、申し出れば加入できます。

130万円の壁は、1月から12月までの年収で判定しますか?

いいえ。健康保険の被扶養者の年間収入は、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額で判定します。給与収入なら月額108,333円以下であれば要件を満たします。基準は130万円未満で、60歳以上または障害者は180万円未満、19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)は150万円未満です。あわせて、同居なら扶養者の収入の半分未満、別居なら扶養者からの仕送り額未満であることも必要です(日本年金機構)。一方、税の壁(136万円・178万円など)は、その年の1月から12月までに支払日が来た給与で数えます(支給日が定められている給与はその支給日、定められていないものは支給を受けた日の年の収入。国税庁 No.2509)。

一時的に130万円を超えたら、すぐに扶養から外れますか?

一時的に収入が基準を超えた場合は、事業主の証明を添付することで、原則として連続2回までは引き続き扶養に入り続けることができます(厚生労働省「年収の壁」への対応)。認定を判断するのは加入している健康保険(保険者)なので、年末の繁忙などで超えそうなときは、勤務先と扶養者の健康保険に相談してください。

配偶者控除と配偶者特別控除の違いは何ですか?

どちらも配偶者がいる人の所得税の控除で、配偶者の合計所得金額で分かれます。令和8年分は、配偶者の合計所得金額が62万円以下(給与だけなら給与収入136万円以下)なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除です。控除を受ける人の合計所得金額が900万円以下なら、配偶者控除は38万円(70歳以上の老人控除対象配偶者は48万円)、配偶者特別控除は配偶者の所得が95万円以下までは38万円で、そこから段階的に減り、130万円超133万円以下で3万円になります。どちらも控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円を超えると受けられず、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません(国税庁 No.1191・No.1195)。給与136万円を超えても控除額がすぐに減るわけではないのは、このためです。

根拠資料

関連ツール:年収の壁 世帯手取りシミュレーター/給与の手取り・源泉所得税・年末調整 計算/年末調整 還付金シミュレーター/住民税 計算ツール/ふるさと納税 控除上限額シミュレーター。関連記事:年末調整の還付金はいくら戻る?/住民税の計算方法/給与の手取りの計算方法。

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