扶養控除等申告書の書き方(令和9年分)
結論:令和9年分の扶養控除等申告書は、本人の欄を書いたうえで、令和9年中に扶養する配偶者・親族を収入ではなく「所得の見積額」で判定して書きます(扶養親族は所得62万円以下=給与だけなら収入136万円以下、源泉控除対象配偶者は所得95万円以下=同169万円以下)。国内で給与を受ける人は、扶養する人がいなくても原則として提出し、2か所以上から給与を受ける人はいずれか1か所にだけ出します。
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、誰を扶養しているかを勤務先に届けて、毎月の給与から引かれる所得税を正しくするための用紙です。年末調整の時期に配られますが、中身は翌年分——2026年の秋に配られるのは令和9年分です。ここが基礎控除申告書・保険料控除申告書(どちらも今年=令和8年分)と違うところで、3枚まとめて渡されるので混乱しやすい点です。
独身で扶養する人が誰もいなくても、この用紙は出します。国税庁は「国内において給与の支給を受ける居住者は、源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則としてこの申告を行わなければなりません。この申告を行わない場合は、月々(日々)の源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、また年末調整も行われないことになります」としています。出さないと税額表の乙欄が使われて毎月の所得税が高くなり、年末調整もしてもらえません。様式にも「以下の各欄に記載する親族がなく、かつ、あなた自身が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生のいずれにも該当しない場合には、上記の各欄(=本人の欄)を記載して給与の支払者に提出してください」と書かれています。
まず、どの年分の用紙かを確かめる
秋に配られる扶養控除等申告書は、たいてい2種類あります。
- 令和9年分——翌年の給与から使うぶん。「令和9年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者に提出してください」と様式に書かれています。この記事の主役はこちらです。
- 令和8年分の「異動」分——今年の途中で扶養に変更があった人が出し直すぶん。結婚・出産・子の就職などがあったのに届けていない人は、今年の年末調整に間に合わせるためにこちらも出します。
ここで混乱しやすいのは、用紙に印刷されている金額と、実際に判定に使う金額が一致しないことがある点です。令和8年12月1日から給与所得控除額と扶養親族等の所得要件が改正されたのに、令和8年分の用紙は改正前の数字で印刷されたまま配られています。国税庁の改正Q&Aも「(注)令和8年分の扶養控除等申告書の様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合がありますのでご注意ください」と断っています。令和8年分の年末調整でも、令和9年分でも、判定に使うのは改正後の額(右列)です。
| 区分 | 令和8年分の用紙の印字(改正前) | 実際に判定に使う額 (令和8年12月1日以後に行う年末調整・令和9年分の用紙) |
|---|---|---|
| 同一生計配偶者・扶養親族 (所得の見積額) | 58万円以下 (給与だけなら123万円以下) | 62万円以下 (給与だけなら136万円以下) |
| 源泉控除対象配偶者 | 95万円以下 (給与だけなら160万円以下) | 95万円以下 (給与だけなら169万円以下) |
| 特定親族 | 58万円超123万円以下 (給与だけなら123万円超188万円以下) | 62万円超123万円以下 (給与だけなら136万円超197万円以下) |
所得の金額が同じでも給与収入への換算が動いているのは、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に上がったためです(所得95万円+74万円=給与収入169万円)。
いっぽう年齢の区切りは、用紙の年分でそのまま1年ずれます。こちらは改正ではなく、「その年の12月31日現在の年齢」で見るための当然の違いです。
| 区分 | 令和8年分 | 令和9年分 |
|---|---|---|
| 控除対象扶養親族(居住者)=16歳以上 | 平成23年1月1日以前生 | 平成24年1月1日以前生 |
| 特定扶養親族・特定親族=19歳以上23歳未満 | 平成16年1月2日〜平成20年1月1日生 | 平成17年1月2日〜平成21年1月1日生 |
| 老人扶養親族=70歳以上 | 昭和32年1月1日以前生 | 昭和33年1月1日以前生 |
この改正で新しく扶養に入る人がいるなら、あとの「令和8年12月1日の改正で新しく扶養に入る人がいる場合」のとおり令和8年分の出し直しが要ります。
用紙の上段——本人の欄
扶養する人がいなくても書く部分です。
- 所轄税務署長等・給与の支払者の名称・法人(個人)番号・所在地——勤務先が書く欄です。空欄で配られたら、会社の指示に従ってください。
- あなたの氏名(フリガナ)・生年月日・住所又は居所・世帯主の氏名・あなたとの続柄。世帯主が自分なら「本人」と書きます。
- あなたの個人番号(マイナンバー)——一定の要件の下で記載を要しない場合があります(勤務先がすでに把握していて帳簿に記録している場合など)。会社の方針で「書かないでください」とされることがあるので、確認してから書いてください。
- 配偶者の有無——「有・無」のどちらかに○。ここでいう配偶者は法律上の配偶者で、所得の多い少ないは関係ありません。
- 従たる給与についての扶養控除等申告書の提出——2か所以上から給与をもらっていて、そちらにも出している場合だけ○。
A 源泉控除対象配偶者
毎月の源泉徴収で配偶者の分の控除を先取りするための欄です。年末調整で受ける配偶者控除・配偶者特別控除そのものは、別紙の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書で申告します。この欄に書いたからといって配偶者控除が確定するわけではありません。
令和9年分の様式の定義はこうです。源泉控除対象配偶者=所得者(令和9年中の所得の見積額が900万円以下の人に限る)と生計を一にする配偶者(青色事業専従者等を除く)で、令和9年中の所得の見積額が95万円以下(給与所得だけの場合は、給与の収入金額が169万円以下)の人。
注意点が2つあります。
- あなた自身の所得にも上限があります。あなたの所得の見積額が900万円を超えるなら、配偶者がいくら少なくてもこの欄には書きません。
- 夫婦の双方がお互いに源泉控除対象配偶者に係る控除の適用を受けることはできません。様式の注記にそのまま書かれています。
「所得の見積額」の出し方
この用紙で何度も出てくる「令和9年中の所得の見積額」は、収入金額ではありません。様式は「収入金額等から必要経費等を差し引いた金額を記載してください。所得の種類が給与である場合には、収入金額から給与所得控除額を差し引いた金額が給与所得の金額となります」としています。ここを収入のまま書くのが、いちばん多い間違いです。
パート・アルバイトの給与だけなら、令和9年分は「収入 − 74万円」で足ります(収入220万円までの場合。給与所得控除の最低保障額が74万円のため)。主な線を換算すると次のとおりです。
| この用紙の線(所得の見積額) | 給与だけの場合の収入金額 | 何の線か |
|---|---|---|
| 62万円以下 | 136万円以下 | 同一生計配偶者・扶養親族 |
| 89万円以下 | 163万円以下 | 勤労学生(ほかの要件あり) |
| 95万円以下 | 169万円以下 | 源泉控除対象配偶者 |
| 100万円以下 | 174万円以下 | 源泉控除対象親族 |
| 123万円以下 | 197万円以下 | 特定親族の上限 |
| 500万円以下 | 6,777,778円以下 | 寡婦・ひとり親 |
様式は判定の基礎となる所得に含めないものも挙げています——非課税とされる遺族年金等の所得、源泉分離課税が適用される所得、確定申告をしないことを選択した上場株式等の配当等。これらは見積額に入れません。
B 源泉控除対象親族(16歳以上)
令和9年分の様式では、この欄の名前は「源泉控除対象親族」です。「控除対象扶養親族」ではありません。控除対象扶養親族に加えて、特定親族(所得が扶養控除の範囲を超える19〜22歳の親族)も毎月の源泉徴収の対象に入ったためです。
様式の定義は、源泉控除対象親族=控除対象扶養親族または特定親族のうち、令和9年中の所得の見積額が100万円以下(給与所得だけの場合は、給与の収入金額が174万円以下)の人。つまり所得100万円が毎月の源泉徴収に反映される線で、これを超える特定親族は年末調整で精算します。
| 区分 | 年齢・生年月日 | 所得の見積額 | チェック欄 |
|---|---|---|---|
| 控除対象扶養親族(一般) | 16歳以上(平24.1.1以前生) | 62万円以下 | — |
| 特定扶養親族 | 19歳以上23歳未満(平17.1.2〜平21.1.1生) | 62万円以下 | 特定扶養親族 |
| 老人扶養親族 | 70歳以上(昭33.1.1以前生) | 62万円以下 | その他 |
| 同居老親等 | 同上で、あなたか配偶者の直系尊属と同居を常況とする | 62万円以下 | 同居老親等 |
| 特定親族 | 19歳以上23歳未満(平17.1.2〜平21.1.1生) | 62万円超123万円以下。ただしBに書くのは100万円以下の人 | 特定親族 |
16歳未満の子はこの欄に書きません。扶養控除の対象ではないからです。用紙のいちばん下の「住民税に関する事項」の「16歳未満の扶養親族」欄に書きます(下で説明します)。
特定親族についての注意が2つあります。様式の注記から引くと、「特定親族は、扶養親族には該当しませんので、あなたの障害者控除の対象にはなりません」、そして「親族の双方がお互いに特定親族に係る控除の適用を受けることや、特定親族に係る控除の適用を受けている親族を特定親族として控除の適用を受けることはできません」。
別居の親・国外にいる親族
別居でも「生計を一にする」なら扶養親族になれます。仕送りなどで生活費を出しているかどうかで判断します。
非居住者である親族(国内に住所がなく、現在まで引き続き1年以上国内に居所がない人)については、様式の「非居住者である親族」欄にチェックを付け、該当する項目——「16歳以上30歳未満又は70歳以上」「留学」「障害者」「38万円以上の支払」——のいずれか1つを選びます。非居住者である親族が特定親族である場合は「16歳以上30歳未満又は70歳以上」にチェックします。
書類も要ります。親族関係書類(非居住者に該当する旨を記載した場合)、留学ビザ等書類(30歳以上70歳未満で留学により国内に住所及び居所を有しなくなった親族の場合)、送金関係書類(年末調整で非居住者である親族に係る扶養控除または障害者控除の適用を受ける場合)、そして38万円送金書類(扶養控除の対象となる非居住者である親族が30歳以上70歳未満で、生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている場合)。「生計を一にする事実」欄には、年末調整時にその年中に送金等をした金額の合計額を記載します(その非居住者が特定親族である場合は、この欄を記載する必要はありません)。
C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生
あなた自身のことと、同一生計配偶者・扶養親族が障害者であるときに書きます。
- 障害者——区分は一般の障害者/特別障害者/同居特別障害者の3つ。該当者は本人/同一生計配偶者/扶養親族(人数)の欄に記入します。特定親族は扶養親族に当たらないので、ここには書けません。
- 寡婦——所得の見積額が500万円以下(給与所得だけの場合は給与の収入金額が6,777,778円以下)で、夫と離婚した後婚姻をしておらず扶養親族がいる人、または夫と死別した後婚姻をしていない人・夫の生死が明らかでない人。かつ、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと。ひとり親に該当する人は除きます。
- ひとり親——現に婚姻をしていない人または配偶者の生死が明らかでない人のうち、所得の見積額が500万円以下で、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がおらず、生計を一にする子(総所得金額等の見積額が62万円以下の子で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族とされている者を除く)がいる人。男女を問いません。
- 勤労学生——学生・生徒・訓練生であること、自分の勤労に基づいて得た事業所得・給与所得・退職所得・雑所得があること、所得の見積額が89万円以下(給与所得だけなら給与の収入金額が163万円以下)で、そのうち給与所得等以外の所得が10万円以下であること——のすべてを満たす人。該当する場合は証明書類の添付が要ることがあります(専修学校・各種学校・職業訓練法人の場合)。
「障害者又は勤労学生の内容」欄には、障害の状態や手帳の種類・交付年月日・障害の程度、勤労学生なら学校名と入学年月日・その年の所得の種類と見積額を書きます。
D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等
同じ家に所得者が2人以上いるときの欄です。様式は「あなたの同一生計内に所得者が2人以上いるときは、扶養親族等……を他の所得者の扶養親族等としたり、その生計内の扶養親族等を分けて控除を受けたりすることができます」としています。共働きで子が2人いるなら、1人ずつ分けて控除を受けることもできます。
この欄には、あなたが控除を受けない親族の氏名・続柄・生年月日・住所と、その人について控除を受ける他の所得者の氏名・あなたとの続柄・住所を書きます。同じ子を夫婦の両方が書くと二重になるので、どちらが受けるかを決めてから書いてください。
住民税に関する事項
用紙の下部にあるこの欄は、地方税法45条の3の2・317条の3の2に基づき、勤務先を経由して市区町村長に提出する「給与所得者の扶養親族等申告書」の記載欄を兼ねています。所得税の欄とは別に埋めます。
- 16歳未満の扶養親族(平24.1.2以後生)——所得税の扶養控除はありませんが、住民税の非課税限度額の判定に人数が使われるので書きます。氏名・個人番号・続柄・生年月日・住所・所得の見積額を記入します。
- 退職手当等を有する配偶者・扶養親族・特定親族——住民税では、扶養親族等の要件とされる所得の金額に退職所得の金額を含めないという扱いがあるため、退職手当等(源泉徴収されるものに限る)の支払を受ける人がいる場合に書きます。対象の配偶者は所得の見積額が133万円以下である人に限ります。
この欄の「令和9年中の所得の見積額」は、退職所得を除いた所得の見積額を書きます(様式の注記)。また様式は、退職手当の支払を受ける16歳未満の扶養親族について、退職所得を含む所得の見積額が62万円を超える場合には、「16歳未満の扶養親族」欄には記載せず、「退職手当等を有する配偶者・扶養親族・特定親族」欄のみに記載するとしています。
異動があったとき
結婚・出産・子の就職・離婚・死別・親を扶養に入れた——こうした変化があったら、出し直します。国税庁は「当初提出した申告書の記載内容に異動があった場合には、その異動の日後、最初に給与の支払を受ける日の前日までに異動の内容等を記載した申告書を提出してください」としています。用紙の右端に「異動月日及び事由」欄があるのはこのためです。
今年(令和8年)の扶養が変わったのに届けていない場合は、令和8年分の用紙で出し直します。年末調整の前であれば、今年の年末調整に反映されます。間に合わなかった場合は翌年に確定申告で精算することになります。
令和8年12月1日の改正で新しく扶養に入る人がいる場合
これは今年だけの特別な「異動」です。令和8年12月1日から扶養親族等の所得要件が58万円以下から62万円以下(給与だけなら123万円以下から136万円以下)に上がるので、これまで所得がわずかに超えていて扶養に入れなかった家族が、新しく対象になることがあります。国税庁の改正Q&Aは、こうなった従業員は「その旨を記載した扶養控除等申告書を、給与の支払者に提出することとなります」とし、記載のしかたまで指定しています——「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載してください。
提出の期限は「原則として令和8年12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日まで」ですが、「年末調整を行う時までに申告書の提出があれば、その申告に基づいて年末調整を行うことができます」とされています。なお、11月30日以前に支払う給与については、源泉徴収税額表を使うときの「扶養親族等の数」にこの改正で新たに対象となる人を含めません(同Q&Aの注)。毎月の源泉徴収に反映されるのは12月からで、1月から11月までの分は年末調整でまとめて精算される、という順序です。
もう1つ、扶養控除等申告書に「源泉控除対象親族」として書いていた特定親族が、改正により控除対象扶養親族(特定扶養親族)に該当することとなった場合は、その親族は扶養控除の対象になります。この場合も異動があった旨を記載した扶養控除等申告書の提出が必要です。
なお、前年に出した申告書から異動がない場合は、「簡易な申告書」を使う方法もあります。様式は「令和8年においてその給与の支払者を経由して提出した申告書に記載した事項から異動がない場合には、その記載すべき事項に代えて『異動がない』旨を記載した申告書……を提出することができます」としていて、国税庁は簡易対応様式も配布しています。この場合に記載するのは「あなたの氏名」「あなたの住所又は居所」「あなたの個人番号」と、異動がない旨です。
よくある間違い
- 収入と所得を取り違える。用紙に書くのは所得の見積額です。給与だけなら令和9年分は「収入 − 74万円」(収入220万円までの場合)。
- 配偶者をA欄に書いたから配偶者控除が受けられると思う。A欄は毎月の源泉徴収のための欄です。年末調整の配偶者控除・配偶者特別控除は基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書で別に申告します。逆に、A欄に書けない(所得95万円超、またはあなたの所得が900万円超)場合でも、年末調整で配偶者特別控除を受けられることがあります。
- 16歳未満の子をB欄に書く。B欄は16歳以上です。16歳未満は「住民税に関する事項」へ。
- 別居の親を書かない。仕送りなどで生計を一にしているなら、別居でも扶養親族になれます。
- 年分を間違える/用紙の印字をそのまま信じる。秋に配られるのは翌年分が基本です。そして令和8年分の用紙は改正前の金額で印刷されているので、令和8年分の異動を書くときも判定は改正後の62万円以下(給与136万円以下)で行います。年齢の区切りだけは用紙の年分どおりです。
- 2か所に出す。後述のとおり、いずれか1か所にしか出せません。
ツールで見積る
配偶者や子の収入がどの線を超えるとどうなるかは年収の壁シミュレーターで確かめられます。世帯の手取りがどう動くかまで出るので、「扶養から外れると損か」を数字で見られます。年末調整でいくら戻るかの目安は年末調整 還付金シミュレーターへ。どちらも令和8年分の制度で計算する画面なので、令和9年分の用紙の判定には上の換算表を使ってください。
3枚の申告書それぞれの記入例と、ここに書ききれなかった見落としやすい点は、Tekiba の有料記事(note・980円)にまとめています。
よくある質問
2か所で働いています。どちらに出しますか?
いずれか1か所にしか出せません。国税庁は「2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける場合には、そのいずれか一の給与の支払者に対してのみ提出することができます」としています。ふつうは給与の多いほう(主たる給与)に出します。提出した先の給与は税額表の甲欄で源泉徴収され、出していないほうは乙欄になって税率が高くなります。乙欄のぶんは年末調整されないので、2か所の給与を合算して精算するには自分で確定申告をします。なお、1か所から受ける給与だけでは源泉控除対象配偶者に係る配偶者(特別)控除、源泉控除対象親族に係る扶養控除、特定親族特別控除及び障害者控除等の控除額の全額が控除しきれない場合には、「従たる給与についての扶養控除等申告書」をもう一方に出して、控除を分けることができます。
マイナンバーは書かないといけませんか?
原則は記載しますが、書かなくてよい場合があります。様式は「あなた及び源泉控除対象配偶者、源泉控除対象親族、年齢16歳未満の扶養親族又は退職手当等を有する配偶者・扶養親族・特定親族のマイナンバー(個人番号)を記載する必要がありますが、一定の要件の下、マイナンバー(個人番号)の記載を要しない場合がありますので、給与の支払者に確認してください」としています。勤務先が過去に提出を受けたマイナンバーを帳簿で管理している場合などが該当し、実務では「記載不要」と案内されることがよくあります。会社の指示に従うのが無難です。なお、この申告書は本来は勤務先を経由して税務署長・市区町村長へ提出するものですが、税務署長等から特に提出を求められた場合以外は提出する必要がなく、勤務先が保管することになっています。
間違えて出してしまいました。どうすればいいですか?
気づいた時点で勤務先に申し出て、出し直すか訂正してもらってください。様式は「この申告書の提出後、記載内容に異動があったときは、別に異動申告書を提出するか、あるいはこの申告書の該当項目を異動後の内容に補正することができます」としています。間違いが毎月の源泉徴収税額に影響していても、年末調整で1年分をまとめて精算するので、年末調整までに直っていれば最終的な税額は正しくなります。年末調整にも間に合わなかった場合は、翌年に確定申告をすれば精算できます。納めすぎた税金を返してもらうだけの還付申告なら、その年の翌年1月1日から5年間できます。年末調整で扱えるものと確定申告が要るものの切り分けは年末調整でできないもの一覧と確定申告の準備(令和8年分)にまとめています。
根拠資料
- 国税庁「令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(A2-1、様式 PDF)——欄の名称(A 源泉控除対象配偶者/B 源泉控除対象親族(16歳以上)/C 障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生/D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等/住民税に関する事項)、裏面「4 扶養親族等の範囲」の①〜⑮の定義(同一生計配偶者62万円以下=給与136万円以下、源泉控除対象配偶者95万円以下=給与169万円以下・所得者は900万円以下、特定親族62万円超123万円以下=給与136万円超197万円以下、源泉控除対象親族100万円以下=給与174万円以下、寡婦・ひとり親500万円以下=給与6,777,778円以下、勤労学生89万円以下=給与163万円以下で給与所得等以外10万円以下)、「1 申告についてのご注意」(提出期限、簡易な申告書、異動後の補正、従たる給与についての申告書)、「2 記載についてのご注意」(所得の見積額の意味、判定の基礎に含めない所得、非居住者のチェック項目、マイナンバーの記載を要しない場合、住民税に関する事項の書き方)、注記(特定親族は扶養親族に該当せず障害者控除の対象にならない/親族の双方がお互いに特定親族に係る控除を受けることはできない/夫婦の双方がお互いに源泉控除対象配偶者に係る控除を受けることはできない)。
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について(源泉所得税関係)Q&A」Q2-1・Q2-4——「令和8年12月1日から給与所得控除額及び扶養親族等の所得要件が改正されます」、新たに対象となる扶養親族等は「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと記載、提出は原則として令和8年12月1日以後最初に給与の支払を受ける日の前日までだが年末調整を行う時までの提出でよいこと、令和8年11月30日以前に支払う給与については源泉徴収税額表の「扶養親族等の数」に新たに対象となる人を含めないこと、令和8年分の扶養控除等申告書の様式裏面の注意事項等が改正前の内容となっている場合があること、源泉控除対象親族として記載していた特定親族が控除対象扶養親族(特定扶養親族)に該当することとなった場合は扶養控除の対象になり異動の申告が必要なこと。
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(同、様式 PDF)——令和8年分の判定額(同一生計配偶者・扶養親族58万円以下=給与123万円以下、源泉控除対象配偶者95万円以下=給与160万円以下、特定親族58万円超123万円以下=給与123万円超188万円以下)と生年月日の区切り。本文の比較表はこの2つの様式を突き合わせたもの。
- 国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」の案内——提出時期(その年の最初に給与の支払を受ける日の前日まで、中途就職は就職後最初の給与の支払を受ける日の前日まで、異動があった場合はその異動の日後最初に給与の支払を受ける日の前日まで)、添付書類(親族関係書類・留学ビザ等書類・送金関係書類・38万円送金書類・勤労学生の証明書類)、備考(源泉控除対象配偶者や扶養親族の有無にかかわらず原則として申告が必要で、行わない場合は月々の源泉徴収で諸控除が受けられず年末調整も行われない/2以上の給与の支払者から給与の支払を受ける場合はいずれか一の支払者に対してのみ提出できる/日額表の丙欄の人は提出不要/勤務先が保管する)、手続根拠(所得税法194条ほか、地方税法45条の3の2・317条の3の2)。
この記事は一般的な説明で、個別の判断は税理士または所轄の税務署・お住まいの市区町村へご相談ください。金額や生年月日の区切りは用紙の年分によって違いますので、お手元の用紙の年分をご確認ください。関連ツール:年収の壁シミュレーター/年末調整 還付金シミュレーター。関連記事:基礎控除申告書の書き方(令和8年分)収入の見積り方/保険料控除申告書の書き方(令和8年分)/年収の壁、年末に超えそうなときの確認手順(令和8年分)/年末調整でできないもの一覧と確定申告の準備(令和8年分)。
さらに詳しく(note)
- 令和8年分 年末調整の書類、欄ごとの書き方と損をしないチェック(note・有料・980円):3枚の申告書の欄ごとの記入例
- 令和8年分 年末調整:出す書類と期限、会社ごとの違い(note・有料・980円):何を・いつまでに・誰に出すか、前職・途中入社・2か所給与・扶養の変更
- 年末調整で「戻る人」と「追加で引かれる人」の違い——今年(令和8年分)は例年より戻る人が多い理由(note・無料):還付になる人と追加で引かれる人の分かれ目