満期保険金・解約返戻金の税金シミュレーター
令和8年分の確定申告の期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です(所得税法120条。国税庁の令和8年分の案内は公表前)。還付を受けるだけの申告は2027年1月1日から出せます。
生命保険・損害保険の満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取ったときの一時所得を計算します。一時所得は「受取額−払い込んだ保険料−特別控除(最高50万円)」で、税金がかかるのはその2分の1です。会社員の方は2分の1にした額が20万円を超えるかどうかで確定申告の要否を判定し(国税庁 No.1903)、増える所得税・住民税と申告書に写す数字も出します。令和8年分(満期日・解約日などが2026年中のもの・2027年3月申告)です。入力内容はブラウザの中だけで処理され、送信されません。
このツールの特徴。同じ年に受け取った複数の保険(満期と解約など)をまとめて計算します。一時所得は1年分を合計して特別控除を1回だけ引くので、満期で得をした契約と解約で損をした契約は差し引きされます。受取額が保険料を下回った分(赤字)は、給与など他の所得からは引けません。
対象にしていないもの。減額・一部解約の精算金、今回より前に(同じ年を含む)同じ契約から一時金を受け取った契約、保険料を負担した人と受取人が違う場合(贈与税・相続税)、年金で受け取る場合(雑所得)、源泉分離課税の金融類似商品(一時払で5年以内に満期・解約)、死亡保険金、競馬・懸賞などの保険以外の一時所得、給与が2か所以上の方の税額、給与所得者以外の方の税額には対応していません。詳しくは下の「前提と対応していないこと」をご覧ください。
この結果の根拠と注意点
計算の前提と制度の説明は、次の記事にまとめています。
計算の根拠
一時所得の金額(所得税法34条)
一時所得の金額 = 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)
満期保険金・解約返戻金は、保険料を払った本人が一時金で受け取ると一時所得になります(国税庁 No.1490)。
- 総収入金額…満期保険金・解約返戻金と、それと一緒に、または後から受け取った剰余金・割戻金(所得税法施行令183条2項1号)。契約者貸付金の返済などで相殺された分も含めた、差し引く前の額です(振込額ではありません)。
- 支出した金額…払い込んだ保険料の総額(同2号)。ただし、満期・解約の前に受け取った剰余金・割戻金(保険料の払込みに充てたものを含む)と、勤務先が負担してあなたの給与として課税されていない保険料は除きます(同条4項4号・3号。ただし少額のため給与として課税されなかった分=所得税基本通達36-32は除かず、保険料に含めます。通達34-4(注)1)。
- 特別控除額…50万円。差引きが50万円に満たないときはその額までです(所得税法34条3項)。
その年の一時所得は合計して計算します。34条2項は「総収入金額からその収入を得るために支出した金額の合計額を控除し」と定めているので、同じ年に満期と解約が重なった場合は、得をした分と損をした分が差し引きされ、特別控除50万円も合計に1回だけ引きます。
受取額が無い契約(定期保険の満了など)の保険料は、ほかの契約の一時所得から引けません(国税庁 質疑応答事例「一時所得の金額の計算(一時所得内の内部通算の可否)」)。
合計が赤字でも、その赤字は給与など他の所得から引けません。損益通算ができるのは不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失だけで(所得税法69条1項)、一時所得は入っていません。
どの年分になるか(所得税基本通達36-13)
一時所得は支払を受けるべき事実が生じた日の年分です。生命保険の満期保険金は満期日、解約返戻金は解約の日が基準で、入金された日ではありません。2026年12月が満期で2027年1月に入金された保険金は令和8年分、2025年12月が満期で2026年1月に入金された保険金は令和7年分です。年分が変わると、同じ年のほかの一時所得との合算・50万円の特別控除・20万円の判定も変わります。
税金がかかるのはその2分の1(所得税法22条2項2号)
一時所得の金額の2分の1を給与などの所得と合計して、総所得金額を出します。所得税・住民税はこの合計にかかるので、一時所得に決まった税率があるわけではありません。もともとの所得にかかっている税率(所得税5〜45%+復興特別所得税、住民税10%)で増えます。2分の1にしたときの1円未満は切り捨てます(国税庁「確定申告書の手引き」)。
会社員の確定申告の要否(国税庁 No.1903)
給与が1か所で年末調整を受けていて、給与が2,000万円以下の方は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら、確定申告を要しません(所得税法121条1項1号)。国税庁 No.1903 は、満期返戻金などの一時所得について「課税の対象となる金額が20万円を超えるかどうかにより、確定申告をする必要があるかどうかを判断します」と書いています。課税の対象となる金額は2分の1にした後の額です。
| 一時所得の金額 | 2分の1 | 判定 |
|---|---|---|
| 40万円 | 20万円 | 20万円以下(要しない) |
| 400,001円 | 200,000円(1円未満切捨て) | 20万円以下(要しない) |
| 400,002円 | 200,001円 | 20万円を超える(必要) |
副業などほかの所得がある場合は、その所得と一時所得の2分の1を足して20万円と比べます。
「要しない」は「申告してはいけない」ではありません。医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするなら、20万円以下の一時所得も申告書に含めます。
住民税は20万円以下でも増え、申告が必要です
所得税の20万円の判定は住民税にはありません。一時所得の2分の1は住民税の所得にも入り、所得割10%がかかります。地方税法317条の2第1項ただし書が住民税の申告を要しないとしているのは「給与所得以外の所得を有しなかつたもの」なので、一時所得がある方は、所得税の確定申告をしない場合、お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要です(所得割の納税義務を負わないと認められる方を条例で申告不要としている市区町村があります)。確定申告をすれば、その提出した日に住民税の申告書が提出されたものとみなされます(地方税法317条の3第1項)。
確定申告書に写す数字
- 第一表「収入金額等」の一時…一時所得の金額(受け取った金額−支出した金額−特別控除。2分の1にする前)。受け取った金額そのものではありません。
- 第一表「所得金額等」の総合譲渡・一時…一時所得の金額の2分の1(1円未満切捨て)。
- 第二表「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」…所得の種類「一時」、収入金額(受け取った金額)、必要経費等(支出した金額)、差引金額、特別控除額。
前提と対応していないこと
- 減額・一部解約の精算金は、支出した金額の按分が契約の形で違うので対象外です(国税庁 No.1755 の Q&A)。今回より前に(同じ年を含む)同じ契約から減額の精算金・生存給付金などを受け取っている契約の満期・解約も、保険料の残りの計算が要るので対象外です(国税庁 質疑応答事例)。
- 保険料を負担した人と受取人が違う場合は一時所得になりません。満期保険金・解約返戻金は贈与税、死亡保険金は相続税または贈与税の対象です(国税庁 No.1755・No.1750)。このツールは判定しません。
- 年金で受け取る場合は雑所得(公的年金等以外の年金)です(国税庁 No.1610)。このツールは判定しません。
- 一時払養老保険・一時払損害保険などで、保険期間が5年以下のもの、または5年以内に解約したものの差益は、金融類似商品として20.315%の源泉分離課税で、確定申告できません(国税庁 No.1490)。このツールは判定しません。
- 死亡保険金、競馬・競輪の払戻金、懸賞・福引の賞金、法人からの贈与など、保険の満期・解約以外の一時所得の計算(支出した金額の範囲など)には対応していません。
- 給与所得者でない方(年金・自営業・無職など)の税額と申告の要否は計算していません。一時所得の金額と2分の1の額だけを表示します。年金を受け取っている方は年金受給者の確定申告 要否判定の「その他の雑所得」ではなく、一時所得の2分の1を年金以外の所得として扱います(所得税法121条3項の20万円に入ります)。
- 給与を2か所以上から受けている方の判定・税額には対応していません。給与2か所の確定申告 要否と還付額シミュレーターをお使いください。
- 住宅ローン控除の適用要件は判定していません。一時所得を足すと合計所得金額が増え、要件(令和4年以後の入居は2,000万円以下、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅は1,000万円以下など)を超えるとその年は控除を受けられません。住宅ローン控除があり、一時所得を含めた合計所得が1,000万円を超えるときは、税額を出しません。
- 予定納税・外国税額控除・配当控除・平均課税・純損失の繰越控除には対応していません。医療費控除・寄附金控除の金額は税額に入れていません。
- 住民税は標準税率(所得割10%・均等割5,000円)で、令和9年度分(2027年6月から)の増分です。国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料は計算していません(一時所得の2分の1で上がることがあります)。
- 結果は目安で、個別の税務相談ではありません。実際の申告にあたっては税務署または税理士にご確認ください。
根拠資料
- 国税庁「確定申告書の手引き」総合譲渡所得・一時所得の計算(第一表・第二表への記載、2分の1の1円未満切捨て)
- 所得税基本通達36-13(一時所得の総収入金額の収入すべき時期)
- 所得税法 第34条(一時所得)、第22条第2項第2号(一時所得の金額の2分の1)、第69条第1項(損益通算)、第120条第1項、第121条第1項第1号(確定申告を要しない場合)/所得税法施行令 第183条第2項第1号・第2号、第4項第3号・第4号(生命保険契約等に基づく一時金)
- 国税庁 タックスアンサー No.1490 一時所得/No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合(いずれも令和8年4月1日現在法令等)/No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき/No.1750 死亡保険金を受け取ったとき/No.1610 生命保険契約に基づく年金に係る雑所得の計算
- 国税庁 質疑応答事例「一時所得の金額の計算(一時所得内の内部通算の可否)」/「生命保険契約等の一時金の支払調書」の記載要領(既払込保険料等は剰余金・割戻金を控除した額)
- 地方税法 第317条の2第1項ただし書、第317条の3第1項/国税通則法 第119条第1項/復興財源確保法 第28条
満期保険金と税金の考え方は満期保険金・解約返戻金の税金:一時所得の計算と確定申告の要否で解説しています。関連ツール:年末調整 還付金シミュレーター/副業の確定申告 要否判定+税額シミュレーター(副業の雑所得がある場合)/給与2か所の確定申告 要否と還付額シミュレーター/住民税 計算ツール。