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雑損控除と災害減免法の違いと計算、繰越

令和8年分(2026年1〜12月の損害・2027年3月申告) 最終更新:2026年10月6日

結論:雑損控除は損失を所得から引き、引ききれない分を翌年以後3年間(東日本大震災と、令和5年4月1日以後に発生した特定非常災害は5年間)繰り越せる制度で、災害減免法は所得金額の合計額が1,000万円以下の人の所得税を、その年だけ全額・2分の1・4分の1のいずれかで免除・軽減する制度です。同じ損害について使えるのはどちらか一方です。対象は、2026年中に地震・台風・大雨・火事などの災害(雑損控除は盗難・横領も)で住宅や家財などに損害を受けた人で、災害減免法は住宅や家財の損害金額が価額の2分の1以上の場合に限られます。その年の所得税は、所得が低く損害が中くらいなら災害減免法、所得が高い・損害が大きいなら雑損控除のほうが軽くなりやすく、たとえば給与500万円・社会保険料75万円の人の家財の損害100万円(災害関連支出10万円)なら、雑損控除で52,377円、災害減免法で0円です。この記事では2つの計算の違いを確認し、令和8年分の計算例で並べて比べます。

損害金額と源泉徴収票の数字を入れると、2つの方法の所得税と、雑損控除の繰越の見込みを並べて計算できます → 雑損控除と災害減免法 比較シミュレーター

雑損控除:所得から引く(繰り越せる)

雑損控除は次の(1)と(2)の多い方を、ほかの所得控除より先に所得から引きます(所得税法72条・国税庁 No.1110)。

(1)(損害金額+災害等関連支出−保険金等)−総所得金額等×10%
(2)(災害関連支出−保険金等)−5万円

災害減免法:所得税そのものを軽くする(その年だけ)

住宅や家財の損害金額(保険金などで補塡される額を除く)が価額の2分の1以上で、所得金額の合計額が1,000万円以下なら、雑損控除の代わりに所得税が軽減・免除されます(災害減免法2条・国税庁 No.1902)。

所得金額の合計額軽減される所得税
500万円以下全額
500万円超750万円以下2分の1
750万円超1,000万円以下4分の1

軽減されるのは住宅ローン控除などを引いた後の所得税です。繰越はなく、住民税にもありません(市区町村が条例で住民税を減免することはあります)。

計算例(令和8年分)

例1・例2は給与500万円・社会保険料75万円(総所得金額等356万円、所得控除179万円)で、損害が無ければ所得税(復興特別所得税を含む)は90,358円です。いずれも住宅・家財の損害が価額の2分の1以上の場合で、ツールの入力例と同じ数字です。

例1:家屋の損害800万円・保険金300万円・災害関連支出50万円

項目金額
差引損失額(800万+50万−300万)5,500,000円
(1) 550万−総所得金額等の10%(35.6万)5,144,000円
雑損控除なら:その年の所得税0円
雑損控除なら:翌年以後に繰り越す雑損失1,584,000円
災害減免法なら:所得税(全額免除)0円

その年の所得税はどちらも0円ですが、雑損控除は所得356万円を引ききっても158.4万円が残り、翌年以後3年間に繰り越せます。住民税も軽くなることがあります。

例2:家財の損害100万円・災害関連支出10万円

項目金額
雑損控除の額(110万−35.6万)744,000円
雑損控除なら:所得税52,377円(37,981円減る)
災害減免法なら:所得税0円(90,358円減る)

その年の所得税だけを見ると災害減免法のほうが軽くなります。雑損控除は所得から引ききれるので繰越はありません。ただし雑損控除には住民税が軽くなる面があるので、所得税の差だけでは決まりません。

例3:給与900万円の人の損害300万円・保険金50万円・災害関連支出20万円

総所得金額等705万円・所得控除130万円で、損害が無ければ所得税は737,672円です。

項目金額
雑損控除の額(270万−70.5万)1,995,000円
雑損控除なら:所得税330,293円(407,379円減る)
災害減免法なら(705万円なので2分の1):所得税368,836円(368,836円減る)

所得が高く、軽減が2分の1になるので、この例では雑損控除のほうが所得税も軽くなります。

国税庁の比較例で確かめる

国税庁のパンフレット「暮らしの税情報(令和8年度版)」の「災害等にあったとき」には、令和8年分の比較例があります。所得600万円・夫婦と子2人(16歳以上、うち1人は19〜22歳)、社会保険料控除115万円・生命保険料控除4万円、災害関連支出なし、損害は住宅や家財の価額の2分の1以上という条件です。

損害額雑損控除/災害減免法(所得税等)
損害なし181,200円
100万円140,300円/90,600円
200万円68,900円/90,600円
300万円17,800円/90,600円

ツールに総所得金額等600万円・所得控除の合計325万円(上の控除に配偶者控除38万円・扶養控除63万円と38万円・基礎控除67万円を足した額)を入れると、100円未満を切り捨てた額が表と同じになります。

盗難・横領の場合

雑損控除の対象になる損害の原因は、災害・盗難・横領です。詐欺や恐喝による損失は対象になりません(国税庁No.1110)。盗難・横領のときは、次の点が災害と違います。

必要書類と罹災証明書

どう選ぶか

確定申告で雑損控除を選んでいても、修正申告・更正の請求で災害減免法に切り替えることができます(No.1902)。迷ったら税務署に相談してください。

よくある質問

雑損控除と災害減免法は両方受けられますか?

同じ損害についてはどちらか一方です。確定申告で雑損控除を選んでいても、修正申告や更正の請求のときに災害減免法に切り替えることができます(国税庁No.1902)。

災害減免法を使える条件は?

災害で受けた住宅や家財の損害金額(保険金などで補塡される額を除く)がその価額の2分の1以上で、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下であることです。所得金額の合計額が500万円以下なら所得税の全額、750万円以下なら2分の1、1,000万円以下なら4分の1が軽減されます。

雑損控除で引ききれない損失はどうなりますか?

翌年以後3年間(東日本大震災と、令和5年4月1日以後に発生した特定非常災害は5年間)に繰り越して、各年の所得から引けます。繰り越すには確定申告書第四表(損失申告用)を出し、その後も毎年確定申告をします。災害減免法には繰越がありません。

盗難にあった場合も使えますか?

盗難と横領は雑損控除の対象です。詐欺や恐喝による損失は対象になりません。盗難・横領では、原状回復のための支出などは (1) の式に入りますが、(2) の式(災害関連支出−5万円)は使わず、災害減免法も使えません(国税庁No.1110・No.1902)。

罹災証明書は必要ですか?

罹災証明書は市区町村が被害の状況を確認して発行するもので、被害割合を判定する目安になります。税務署は、申告のときに添付するか提示するようお願いしています。雑損控除では、取壊し・除去・原状回復などの支出の領収書を添付するか提示します。

損害金額・保険金・災害関連支出と源泉徴収票の数字を入れると、2つの方法を並べて計算し、繰越と申告書に書く数字まで出します → 雑損控除と災害減免法 比較シミュレーター

根拠資料

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