雑損控除と災害減免法 比較シミュレーター
令和8年分の確定申告の期間は2027年2月16日(火)〜3月15日(月)です(所得税法120条。国税庁の令和8年分の案内は公表前)。還付を受けるだけの申告は2027年1月1日から出せます。
地震・台風・大雨・火事などの災害で住宅や家財に損害を受けたとき、所得税には雑損控除と災害減免法という2つの救済があり、どちらか一方を選びます(両方は受けられません)。このツールは、同じ損害について2つの方法それぞれで所得税がいくらになるかを並べて計算し、雑損控除で翌年以後に繰り越せる額と、申告書に書く数字を出します。令和8年分(2026年1〜12月の損害・2027年3月申告)で、所得税だけを計算します。入力内容はブラウザの中だけで処理され、送信されません。
このツールの特徴。雑損控除の2つの式(損失−総所得金額等の10%、災害関連支出−5万円)の多い方と、災害減免法の軽減(全額・2分の1・4分の1)を、同じ所得・同じ損害で横に並べます。どちらを選ぶべきかは表示しません。雑損控除は翌年以後に繰り越せることと住民税も軽くなることがあり、その年の所得税の額だけでは比べられないためです。
対応していないこと。損害金額(時価)の算定、詐欺・恐喝による損失(雑損控除の対象外)、事業用資産の損失、住民税の額、災害による源泉所得税の徴収猶予・還付、繰り越した雑損失を翌年以後にいくら引けるかの計算には対応していません。
この結果の根拠と注意点
計算の前提と制度の説明は、次の記事にまとめています。
計算の根拠
雑損控除(所得税法72条・国税庁 No.1110)
次の(1)と(2)の多い方が雑損控除の額です。
(1)(損害金額+災害等関連支出−保険金等)−総所得金額等×10%
(2)(災害関連支出−保険金等)−5万円
- 保険金等は、まず損害金額から差し引き、損害金額を超える場合はその超えた分を災害関連支出から差し引きます。
- 雑損控除はほかの所得控除より先に引きます。その年の所得から引ききれない分は雑損失として、翌年以後3年間(東日本大震災と、令和5年4月1日以後に発生した特定非常災害は5年間)に繰り越せます。繰越には確定申告書第四表(損失申告用)を出し、その後も毎年続けて確定申告をします。
- 住民税にも雑損控除があり、翌年度の住民税も軽くなります(同じ式で、住民税の総所得金額等を使います)。
災害減免法(災害減免法2条・国税庁 No.1902)
災害で受けた住宅や家財の損害金額(保険金などで補塡される額を除く)が、その価額の2分の1以上で、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下なら、雑損控除を受けない代わりに、その年の所得税が軽減・免除されます。
| 所得金額の合計額 | 軽減される所得税 |
|---|---|
| 500万円以下 | 全額 |
| 500万円超750万円以下 | 2分の1 |
| 750万円超1,000万円以下 | 4分の1 |
軽減の対象は、住宅ローン控除などの税額控除を引いた後の所得税(申告書の差引所得税額)で、軽減した後の額に復興特別所得税(2.1%)がかかります。災害減免法は所得税だけの制度で、住民税にはありません(市区町村が条例で住民税を減免することはあります)。繰越もありません。
どちらかを選ぶ
同じ損害について、雑損控除と災害減免法はどちらか一方です。確定申告で雑損控除を選んでいても、後から修正申告・更正の請求で災害減免法に切り替えることができます(No.1902)。その年の所得税だけで比べると災害減免法が大きいことがありますが、雑損控除は翌年以後に繰り越せることと住民税も軽くなることがあるので、このツールは結論を出さずに並べて表示します。
前提と対応していないこと
- 損害金額(時価)の算定はしません。国税庁の「損失額の合理的な計算方法」や、取得価額から減価償却費相当額を引く方法で計算した額を入れてください。
- 盗難・横領による損害は、雑損控除の (1) の式だけで計算します((2) の式・災害減免法・5年の繰越は使いません。災害減免法の対象は災害だけです)。詐欺・恐喝は雑損控除の対象になりません。
- 事業用の資産・棚卸資産、生活に通常必要でない資産(別荘、1個30万円超の貴金属・書画骨とうなど)の損害は対象外です。
- 資産の所有者は、あなた本人か、生計を一にする配偶者・親族で総所得金額等が62万円以下(令和8年分)の方に限ります。
- 住民税の額、繰り越した雑損失を翌年以後にいくら引けるか、純損失など他の繰越損失との順序、災害による源泉所得税の徴収猶予・還付(国税庁 No.8003)には対応していません。
- 配当控除・外国税額控除・予定納税には対応していません。
- 結果は目安で、個別の税務相談ではありません。実際の申告にあたっては税務署または税理士にご確認ください。
根拠資料
- 国税庁 タックスアンサー No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)/No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除(いずれも令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「確定申告書の手引き」手順4(差引所得税額・災害減免額の順)
- 所得税法 第72条(雑損控除)、第71条(雑損失の繰越控除)/災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律 第2条
考え方は雑損控除と災害減免法、どちらが有利?で解説しています。関連ツール:年末調整 還付金シミュレーター/住民税 計算ツール/医療費控除 還付金シミュレーター。関連記事:年末調整でできないもの一覧と確定申告の準備(雑損控除は確定申告で)。